2015/06/01

【第3回】地方都市圏で、士業事務所をゼロから始め、組織として運営する6つの方法『 実相分離』

【第3回】地方都市圏で、士業事務所をゼロから始め、組織として運営する6つの方法『 実相分離』

実相分離とは?


「実相分離」
これは、わたしが作った造語です。
 
意味は、
“実務と相談業務を分ける”です。
 
地方都市圏で、士業事務所をゼロから始め、組織として運営してゆくためには、必要不可欠だと考えています。
もちろん、わたし自身、実相分離を採り入れ、実践しています。
 
実相分離は、本来的な言い方は「製販分離」です。
製造と販売を分離する、という考え方ですね。
 
製造業では当たり前のやり方になっています。ごく小さな事業所でない限り、工場で働く人が製品を販売することってありませんよね。
 
建築やリフォーム業界でもそうです。
工事を行う現場作業と、工事そのものを受注する営業は分離されている会社が多いです。
 
以前、製販分離についての本を読んで「これだ!」と思って、弊社で採り入れた手法です。
税理士業界では時折見かける手法ですし、実際に移行している事務所、歴史的に実態として移行済みである事務所がありますね。
 
わたしは士業ですので、勝手に「実相分離」と名づけています。そのほうが分かりやすいと思いまして。
それと、経営者の間で時折聞きませんか?
「選択と集中」。
 
これは経営の神様と言われたピーター・ドラッカーの著書でも出てくる概念です。
「得意な領域を明確にし、そこに集中する」という考え方とも言えます。
 
実相分離は、この「選択と集中」という考え方も根底にあります。
 
実務が得意な人(実務経験を重ねるうちに結果的に得意となることも含む)と、相談関連が得意な人で、事務所全体の業務をはっきりと分け、分担することです。
 
一番分かりやすくいえば、
・依頼を受けるまでのすべて
・依頼を受けてから完遂するまでのすべて

と言えようかと思います。
 
なお、士業にはそれぞれ管轄法令(わたしの場合、行政書士法)がありますね。これらの法令は、それぞれの法令に則った形で実現してゆかねばならないと思います。
 
 

具体的なカタチ(実相分離のうちの「実」について)


imasia_15030538_M実相分離の具体的なカタチについて説明させていただきますね。
実相分離の「実」から説明いたします。
 
前述しましたが、実とは「実務」のことですね。
ご依頼を受けた後、実務の遂行、請求書の発行などが入ります。
 
ご依頼を受けた後の「固定顧客化のためのフォロー活動、マーケティング活動を除いたすべて」と言い換えることができます。
 
よく、士業では「実務」が次の依頼につながると言いますね。
その通りです。
実務サービスが顧客にとって満足に足るものでなければリピーターになりませんし、紹介も発生しません。
実務サービスも広い意味でいえば、士業事務所のブランドを決定する要素であり、次の案件、紹介発生の根源です。
 
ただ、この実相分離は、前述しました通り、「選択と集中」を根底に置いています。
実務と案件・紹介発生に関連はあると思いますが、あえて、分離しています。
 
 

具体的なカタチ(実相分離のうちの「相」について)


これは“ご相談に関することすべて”があたります。
士業の案件の発生源の多くは「ご相談」です。相談なしに依頼につなげることは、非常に単一化された手続か、または高度に仕組み化されていないと難しいでしょう。
 
ご相談に関することすべての「すべて」とは、「ご相談をいただけるための活動、相談いただいた時点での対応活動」を指します。
これをご覧になった方の中には、こう思う人がいるかもしれません。
“そうか、簡単じゃん。仕事を獲得さえすればいいんでしょ”
(考えすぎかな、思いませんかね・・・)
 
現在、弊社では代表であるわたしと職員一名が専属で業務しています。
わたしがやっているから言ってしまうのかもしれませんが・・・
“いや~大変”。
 
士業事務所が組織として運営するためには、ある程度の案件数が必要です。代表者一人の生活じゃないですもんね。
「月に5件、依頼をいただく」程度では話にならないわけです。
それも“棚からぼた餅”のような偶発的な案件の獲得方法じゃなく、「安定的に継続して案件を獲得する」ことが必要。
 
士業事務所によくある「代表者の人柄や人脈による案件獲得」は、もちろんその要素は小さくはありませんが、個人事務所ほどは使えないと思ったほうが懸命です。
 
そのためには、ある程度のマーケティング能力が必要になってきます。
安定的に案件が発生してくる仕組みが必要。
 
取扱いサービスによっては、「確度の高い偶発性の連続による単発案件の蓄積」があるでしょうし、「定期的に入ってくる継続業務の種を、きっちり業務化してゆく」ということもあるでしょう。
 
何にせよ、“仕組み”が必要になってきます。
ある程度、戦略的に考えて、戦術として落とし込んだ“仕掛け”と言い換えることができるかもしれませんね。
ご依頼は、本当にさまざまな要素が組み合わさって、それらが最も有効に連動したときに、ご依頼という現象で結実します。
 
「事務所のブランド」を例にとってみますね。
これ、必要になります。
「あの事務所は、あれをやっている」
これが、ニーズを持つ人に対して、一瞬のうちに脳裏に焼き付けることができないと、安定的な案件獲得は難しい。
そのブランドに基づいて、事務所のサービスを拡販してくれる組織や人を増やしてゆくことも必要になります。いわゆる販売チャネルです。
 
そもそも論となりますが、士業の業務を「サービス」と位置づけることが前提となりますし、「拡販」という概念を、士業として許容できるか?という点も乗り越えるべき壁になります。
高度なことをやっているからサービスじゃない!
拡販って、何だ!?
 
この考え方だと難しいと言わざるを得ません。
少なくとも、販売チャネルになって下さる人には通じない。連携するのは士業以外の事業者さんも多いですから。
 
 

理想的なカタチ(「実」と「相」について)


理想像は、実相分離の「実」と「相」が有機的にスムーズに連動すること。
 
「実」が弱くて、「相」が強ければ、案件は入ってきても処理ができません。
その逆だと、人が余ることになります。
少し見方を変えてみると、「実」が強くなりすぎると「相」の段階で実務部署からの要求事項が多くなりすぎ、案件獲得が減ってゆきます。
「相」が強くなりすぎると、案件獲得時に「実」がリスクヘッジしておきたい事項がなくなり、実務部署が不満に思います。
 
わたし自身、やっていて、バランスがとっても難しいと考えます。
実相分離というのは、絶妙なパワーバランスのもと、成り立つ手法なのかな、と思ったりします。
ただ、バランスさえ取れれば、理想的な成果を得ることができる手法だと思います。
 
以上、地方都市圏で士業事務所をゼロから始め、組織として運営してゆきたい方、実際に行っている方の参考になれば嬉しいなと思います。
 

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