2018/04/16

業界で太い絆を作るには? ~大学OB会をきっかけに広がった繋がり~

<第1回>業界の偉い人との絆を若いうちに作るべき理由

<第1回>業界の偉い人との絆を若いうちに作るべき理由

全国でも数少ない「不動産鑑定士兼公認会計士・税理士」の冨田建氏に、士業業界で太い絆を作るための極意を伺いました。

プロフィール 冨田 建

全国42都道府県180以上の市町村で不動産鑑定業務の経験あり。著書「弁護士・公認会計士・税理士のための不動産の法令・評価の実務Q&A」や雑誌・税理士会会報、ヤフーニュース記事等で数回執筆の他、公認会計士協会や税理士会の団体で公認会計士・税理士向けに不動産関連の講演を数回行う。 平成30年度国土交通省地価公示鑑定評価員、公認会計士世田谷会幹事。 特技が音楽で平成29年公認会計士協会東京会第四回音楽祭で自作曲「ふどうさんのうた」で優勝。

対談スタート

暗黒だったキャンパスライフ

【ミカタ編集部】
本日は、冨田建不動産鑑定士・公認会計士・税理士事務所代表、冨田会計・不動産鑑定株式会社代表冨田建さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。冨田先生は開業されてから7年経っていらっしゃいますが、もともと不動産鑑定士と公認会計士・税理士の資格を持っていらっしゃるということで、資格を取得されたきっかけやこれまでのキャリアをお伺いしてもよろしいでしょうか。
 
【冨田】
私は子どもの頃から鉄道が好きで、中学から慶應に通って大学受験がないのを良い事に高校三年の夏休みは42日中25日は鉄道旅行に行ってる有様でした。
後から聞くと未来の公認会計士試験合格を目指し慶應高校在学中に簿記の勉強を始めた人や、慶應高校在学中から会計を学び初めても公認会計士試験に合格できずに挫折する人すらいたようですが、当時の私はそもそも簿記が何かすら知らない。それどころか、商学部に行ったら『「簿記とかいうもの」をやらされるらしいからやめた方がいい』という先輩のとんでもない(?)アドバイスを真に受けていました。今考えればひどい食わず嫌いですよね(笑)。
その上、父が慶應の理工の修士卒で父の先輩が教授をやっていたので、「お前は長男だからそこの研究室に行け」と理科が弱かったにも拘わらず理工学部進学を強制されて…。ところが理工学部の勉強内容も環境も全く水に合わず留年を繰り返す惨状。
そんなある日、母親が「あなた、あれだけ地理に強いんだから、国内旅行業務取扱主任者(現在の管理者)を取ったらどう?」と言い、一応は通信講座に入りました。ただ、通信講座に入ったまでは良かったのですが、なにせ当時まだ法律の勉強をしたことがない。なので、最初は心理的抵抗があり、試験の二週間前まで何もせずほったらかしていました。
 
【ミカタ編集部】
それは遊んでいたということですか?

 
【冨田】
この時に限らず大学入学後4年間はずっと音楽とかをやっていました。エレクトーン歴12年半なんですよ。今でも会計より音楽の方が自信があるくらい。さすがに不動産は音楽より自信がありますが。
で、折角通信に入ったのに何もしないのも良心の呵責があるので2週間だけ頑張って勉強しようと思ったんです。ところがこの資格って、地理が難関みたいで、法律はサクサク行くけれど地理が覚えられずみんな挫折する。一方で私はというと、高校3年の夏休みの時42日中25日旅行等のお蔭で全国に何がしかの思い出があるので勉強なんて一切しなくても地理は全部解けました。結果として6割あればいいところを8割以上取って合格しました。その時、こう思ったんですね。「これ、もしかしてもっと難しい資格も行けるんじゃね」と。
 
【ミカタ編集部】
自信につながったのですね。
 
【冨田】
その時になんの資格を目指すかを考えました。当時なぜか手元に公認会計士試験の手引きのような冊子があり、それを持って父に「公認会計士ってなに?」と聞くと、父は将来を見通す目が当時も今もないので「公認会計士はとても難しい資格だからお前には関係ない」と。今考えるとめちゃくちゃですよね(笑)。
で、色々考えた結果、業務で全国どこでも鉄道で行けるという理由で不動産鑑定士が合っているのではないかと思い、不動産鑑定士を目指すことにしました。
その結果、どうなったかと言いますと、当時の不動産鑑定士試験2次試験には受かりました。受かったのですが、受験と無関係な理由で更に留年を繰り返す始末。この合格の時、私は理工学部が大嫌いでしたし、みんなはキャンパスライフと言って楽しんでいましたが私にとってキャンパスライフ=暗黒でしかないので、「大学はもう行きたくない、やめる。そして不動産鑑定事務所に行く。」と言いました。しかし親には「中学から慶應に入れたのにそれはないだろう」と叱られ「じゃあ公認会計士をやる」と言う話になり、公認会計士を目指す事になりました。
 
【ミカタ編集部】
そんなきっかけだったのですね。反骨精神と言いますか、そのようなもので会計士を目指されたのですね。

 
【冨田】
すべては留年がスタートでした。反骨というよりも、公認会計士試験の受験勉強は確かにきついですが理工学部よりは遥かにマシと。だから、公認会計士試験の受験勉強ができるだけ恵まれていると思っていました。
これは資格試験を目指している人全般に言えると思うのですが、資格試験は受験できる環境があるだけでも恵まれています。その感謝の心を忘れてはいけないですね。それで合格できないのは、その人の責任以外の何物でもない。
 
【ミカタ編集部】
資格を取得されてから開業されるまで、お時間はどのくらいあったのですか?

 
【冨田】
監査法人へ行き、不動産鑑定事務所へ行き、という感じだったので、結局9年くらいです。 
 

業界の偉い人との絆を若いうちに作るべき理由とは

【ミカタ編集部】
開業前後の黎明期は人の縁の開拓が難しいと思いますが、最初どのようなところから人の縁を開拓しましたか?
 
【冨田】
不動産鑑定事務所に勤務していた2007年のある日、調査する不動産について、近くにある宅建業者でいろんな情報を聞くということをしていました。そのときたまたま入った地元の近くの宅建業者さんのところに、大学の不動産会のテナントがありました。「これはなに?」と聞くと、慶應大学出身の人の不動産の集まりだと言われ、自分も慶應出身だと言うと参加させてもらえることになりました。そこでその宅建業者とも仲良くなり、今でも公私ともに付き合いがあります。こちらから色々お願いをしたり、向こうからも情報や案件を頂いたりしています。あの時の一言がなければこの縁はないし、のちに不動産三田会(慶應大学の不動産会)経由で慶應出身の公認会計士の先輩も紹介してもらうことができ、公認会計士三田会や税理士三田会、公認会計士清風会(公認会計士協会の中で46年続く勉強会、後に冨田は43代目の代表になった)等にも絆が広がっていきました。
 
【ミカタ編集部】
人の縁には恵まれたということですね。

 
【冨田】
それが一番大きいかなと思います。
 
【ミカタ編集部】
もしもう一度開業当初に戻ったとして、今までの知識や経験があったとしたら、どのような準備をされますか?

 
【冨田】
うちは色々な理由があって開業準備がろくにできない状況で始めてしまったのですが、もし準備ができたとしたら、独立前からもっと視野を広げていたと思います。人との絆や、仕事以外の視野を広げなければ奥行きは出ません。
 
【ミカタ編集部】
例えば仕事以外の視野というと、どのようなものがありますか?

【冨田】
一つは、公認会計士東京会の会長も務められた慶應高校の大先輩に7年くらい前に伺ったことなのですが、「士業は立法府に守られてその仕事がある。法律で独占が担保されているからこそ仕事がある。ということは、立法府と常に緊密なつながりを持っていないといけない。」ということです。私ももっともだと思ったので、ご縁に恵まれた事もあり、支持している勢力の議員さんにも可愛がって頂いています。それが高じて去年の正月など、わざわざ新年の挨拶と称して冨田家に衆議院議員の先生がお見えになりものすごく恐縮したことも(汗)。
もう一つ大事なことは、士業の協会の幹部への敬意です。士業の若手の中には協会の幹部について「あんな人がなぜ幹部なんだ」とか「協会の幹部は何やってんだ」いうことを言う人がいるようですが、私はそれは絶対にやるべきではないと思います。なぜ今の幹部が幹部になることができたのかと考えると、それだけのことをその方々は業界でやってきたということです。勿論、絆があって色々な背景を知った上で意見を言うのはありですが、会ったことのない業界の幹部を「なぜそうしているのかの背景も知らずに」批判するのは絶対に良くない。
また、そのような絆がない人は「敷居が高い」と言うのですが、一回入れて貰えば間違いなく視野が広がる。例えば、この業界のこの制度は、制度としては今使っているかもしれないけれど、どういった背景があってどのように構築された制度かということを知ると知らないでは大分違ってきます。どんな有難味や意義があるか知るだけでも、大分変わるでしょうね。あとは、難しい判断も、知っているか知らないかでより深みのある判断ができるのではないでしょうか。公認会計士だったら公認会計士協会の幹部、税理士だったから税理士会の幹部、不動産鑑定士なら不動産鑑定士協会の幹部と若いうちから絆を作った方が絶対にいい。
 
【ミカタ編集部】
絆を作るためにはどんな努力が必要ですか?

 
【冨田】
私の場合は幸運にも一つの絆から他の絆へとどんどん広がっていきましたが、例えば公認会計士の場合だったら初めは縁が全くなくとも公認会計士協会の総会後の懇親会とか新年会とか、慶應出身なら公認会計士三田会とかに行って、そこに協会の幹部たちがいるので、最初はとにかく「よろしくお願いします」と挨拶します。そういう方々は業界全体を考えているので、そういう若手は基本的に歓迎です。
少なくとも、自分から勝手に敷居が高いとは思わない方がいいです。
 
【ミカタ編集部】
話しかけづらいと思うのではなく、どんどん積極的に挨拶して話しかけに行く方が良いのですね。

 
【冨田】
もしそれができないのであれば、幹部に絆を持っている少し上の先輩に紹介してもらう。
 
【ミカタ編集部】
絆を持った先輩はどのように見分けるのでしょうか。

 
【冨田】
やはりそこに昔からいる人でしょうね。確かに最初に懇親会とか新年会とかに行くのは勇気がいると思いますが、とにかく謙虚にやっていけば、監督官庁に処分されるようなことでもしない限り「あんなやついらない」と言われることはありません。また、例えば不動産鑑定業務上の意見を聞くときも、そこら辺の不動産鑑定士に聞くより幹部に聞いた方が、業界や協会の深いところまで知っているので自分が気が付かなかったためになることが聞けます。困ったときにも意見を聞けて、ある種の非常弁にもなるんです。
 
【ミカタ編集部】
それは強いですね。一人で悩んでいてもわからないことはわかりませんから。そういった絆をしっかりと持っておくことによって、解決が早まったり、分野によりますがその人に助けてもらうこともできますね。

 
【冨田】
ちょっと困ったときにお願いすることもできるし、なによりも絆があることによって普段から安心感もあります。もう一つはあまりみんな気づかないところなのですが、絆を持っておけば、心のどこかで不正をしにくくなると思います。少なくとも間違ったことはやってはいけないという圧のようなものが強くなる。普段から、あの人たちは俺を知っているし世話になってるからそのような皆さんに迷惑をかけらないな、という風になります。そういった意味でも絆の構築は大事だと思います。
 
【ミカタ編集部】
礼儀正しくなるとか、謙虚でいられるようになるといった、日本の作法のようなところでしょうか。

【冨田】
それもそうですし、これは社会的見地からやらないほうがいいということを、幹部になるほどの優れた先輩の顔を知っていることでやりにくくなる。健全な発展を目指すために、普段顔を出しておくということがとても大事だと思います。ただ、実際にそれができていない人が多いのも事実です。そこにも一つの差別化があるのではないでしょうか。
 
【ミカタ編集部】
できていない方というのは、なぜできていないのでしょうか。

 
【冨田】
価値に気付いていないということもあるだろうし、敷居が高い、絆がないからやりにくい、ということもあると思います。確かにわからないでもないです。 
 

本当のお客さんはその士業の実力、信用、人間性でつくもの

【ミカタ編集部】
冨田先生は開業にあたり準備はなかったとおっしゃいましたが、準備がなかったことによる失敗談があればお聞きしたいです。

【冨田】
最初だけきつかったですね。体制ができていませんでしたし、人のつながりは少しはありましたが、最初の年の売り上げはきつかったです。今となっては最初の下積みだったと思います。
 
【ミカタ編集部】
下積み時代に最も学んだことは何ですか?

 
【冨田】
人の絆などはいろいろと作っていきましたが、やってみなければわからなかったとはいえ、意味不明な商品を売りつけようとする輩やこちらが興味もない怪しい雰囲気の会合に引き入れようとしたりする輩といった問題のある繋がりもありました。勿論、それらとは縁を切りましたがそれは結果論なのでしょうがないとして、やはりこちらを騙してお金を盗ろうとしたり士業の信用を悪用しようとしたりする者もいるので、それに引っかからないように気を付けてほしいと思います。とにかく、「自分が必要としていないのにあちらから声をかけてきてお金を出してください」というのはまずロクな事はありません。勿論、うちは引っかかりませんでしたが。
あとは、士業の営業獲得のためのセミナーなどに対し、私は、そんなセミナーをやる前に自分たちが稼いで実績を見せてから受講生を募れと思ってしまいます。要するに、自身も全然お金を稼げていない人が事業の営業をアシストしますというのは間違っている。公認会計士が公認会計士をアシストするなら、公認会計士の気持ちもわかるのでまだ理解出来なくもないですが、士業でない人が士業をアシストするというのは、サッカーをまったく知らない人がサッカーのコーチをするようなものです。ウェイビーさんにこのようなことを言って大丈夫でしょうか?
 
【ミカタ編集部】
大丈夫です。弊社はもともと行政書士事務所を開業し、代表の伊藤が行政書士の資格を持っていました。今は登録を抹消してしまったのですが、ウェブ集客でお客さんを集め、売り上げを作ってきた実績があります。その方法を行政書士の先生やほかの士業の先生にお伝えしています。

 
【冨田】
私がすごく言いたいのは、さっき言ったサッカーの経験のない人がサッカーのコーチをやって何ができるのかということです。そして、どんな形であれ、お金を出すときは本当にその支出が必要なのかを必ず一歩立ち止まって考えることが大事です。勿論、協会の会費などの本当に必要な出費は別ですが。
毎年義務づけられている公認会計士・税理士・不動産鑑定士の専門的知識の研修のは必要です。また、私だったら弁護士や司法書士の感覚を学ぶというように、業務に関連する隣接士業の知識を得る研修も有意義でしょう。
しかし、はっきり言って営業セミナーは個人的にはまったく信用していません。最終的に士業のリピーターとなる源は、その士業に対する業務、信用、人柄であって、万が一、何かのはずみで運よく案件が来たとしても、その士業に能力や信用、高い人間性がなければ継続顧客にはならない。
本当のお客さんはその士業の実力、信用、人間性でつくものです。独立当初の不安に付け込んでそこを勘違いさせ上っ面の機会を持ってこられるように見せかける「ひよこ食い」的な営業セミナーは断じて違います。



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