2018/04/13

ボクシングでセルフブランディング ~「戦う税理士先生」開業1年目のリアル~

<第1回>バーチャルオフィスでなく自分の事務所を持つこだわり

<第1回>バーチャルオフィスでなく自分の事務所を持つこだわり

ボクシングでプロデビューも果たした「戦う税理士先生」安川 隆浩氏に開業1年目のリアルについてお話を伺いました。

プロフィール 安川 隆浩

1982年富山生まれ。

特別目的会社(SPC)を専門に扱う会計事務所で匿名組合や投資事業組合といったファンド系の会計税務を経験。
その後、方針転換し、不動産会社の経理を経て中小企業向けの税理士法人に勤務。
不動産会社勤務時は週末に大学院に通う傍ら、夜間にボクシングジムに通い、プロデビューを果たす。
2017年1月に個人事業主として独立。一般的な個人・法人の会計税務業務の他、匿名組合を利用したスキーム組成にも携わっている。

対談スタート

一般企業に勤めながら、大学院へ

【ミカタ編集部】
本日は安川隆浩税理士事務所代表、安川隆浩先生にお越しいただきました。本日はよろしくお願いします。安川先生は今年の1月、2017年1月に独立開業され、開業1年目ということで、開業のリアルをお届けしていきたいと思っています。まずは安川先生の、税理士になるきっかけやプロフィールを伺ってもよろしいでしょうか。
 

【安川氏】 
大学2年の時に生協で税理士の勉強のパンフレットを見つけ、暇だったのと将来への不安から、やってみようと思いました。実家の家業は空調の経営をしていますが、経理をしていた母の姿を見ていたのと、小学生のときに税務署が調査で自宅に来たのですが悪いイメージを持ったもので、自分は税務署ではなく、守る側のほうがいいなと思ったのもきっかけです。在学中に簿記と財務諸表論に合格したこともあり、卒業後は就職をせずに会計事務所でアルバイトをし、そこで勉強しました。そして消費税法に受かった翌年に、3科目合格の状態で別の会計事務所に一旦就職します。その会計事務所に勤務しながら、夜は資格学校のTACに通うよくある生活です。ただ、恥ずかしながら法人税法に5回続けて落ちてしまい、「もうやめよう」と思ったのが28~29の時です。ここまできて税理士になれないくらいなら、と試験を受け始めた頃は気乗りのしなかった大学院に行くことを決意しました。それに合わせて最悪、税理士になれなかったときのことも考え、一般企業の不動産会社の経理に入り、2年間、土日限定で大学院に通いながら勤めました。そして無事に卒業し資格も取れたので、また会計事務所で働き始めることに。それが32歳のときです。そこから2年ほど勤め、経験を積み現在開業に至っています。
 
【ミカタ編集部】
資格を取って最初から独立を選ばずに、会計事務所にもう一度勤めようと思われたのですね。

 
【安川氏】
資格を取る前に勤めていた会計事務所は特殊な事務所で、当時流行っていた特別目的会社(SPC)、ペーパーカンパニーをよく扱う事務所でした。中小企業向けのサービスはほとんどなく、経験値が不足していたため、ワンクッション挟もうと思いました。ノウハウを身につけようというのが目的でした。
 
【ミカタ編集部】
組織に所属している時と独立した後ではどのような違いがありますか?

 
【安川氏】
自意識の変化ですね。勤務時代はどの業種もそうだと思いますが、誰かが最後まとめてくれる、尻拭いをしてくれるという意識があったのですが、今は私しかいませんので、しっかりお客様に向き合おう、しっかりサービスをしようという自意識を持つようになりました。
 
【ミカタ編集部】
組織で働いている時のお客様を、独立してもそのまま少しお手伝いさせていただいたりすることもあるのでしょうか?

 
【安川氏】
ありますね。仲の良いお客様には関しては特に、引き続きお手伝いをさせていただいております。
 
【ミカタ編集部】
最初に事務所に所属していると、安川先生のご経験ではそういうこともできたということですね。実際に独立開業される前に準備したことはありますか?

 
【安川氏】
構える事務所、立地は大事だと思いますが、たまたま不動産会社にいたときの先輩のつながりで良い社長さまをご紹介をいただいた直後、その会社様の宅建主任者が辞めてしまったので代わりに自分が主任者登録をすることを条件に間借りさせていただくことになりました。千代田区の麹町駅近くといういい場所に事務所を構えることができたので、ラッキーでした。バーチャルオフィスを使っていらっしゃる方も多いですが、名刺を見ていい場所だと思っても、実際バーチャルオフィスだとお客様も不安に思うのではないかと思うので、その点では運が良かったです。
 
【ミカタ編集部】
間借りということは固定費をお支払いしているのですか?

 
【安川氏】
実はサービスでお返しする形になっています。その会社の経理をやることで、もちつもたれつのような関係ですね。その会社様は年間50~60万は今の顧問税理士にお支払いということだったので、その金額もなくなるし、席の空きもあるしいいよという形でした。
 
【ミカタ編集部】
宅建の資格を持っていなかったとしてもできそうですか?

 
【安川氏】
気前の良い方なので言っていただけたかもしれませんが、最悪この話が無かったら無かったで、どこかに事務所を構えていたのではないかなと思います。
 
【ミカタ編集部】
では不動産でなくても、「顧問に入る代わりに場所を貸してください」という交渉はなさっていたかもしれませんね。
 

【安川氏】
そういった交渉はしていたと思います。やはり固定費を考えた時に、浮かせたいなとは当然思いますので、大事なことかと思います。
 
【ミカタ編集部】
すごく良いことだと思いました。麹町でオフィスを借りようとしたら、そこの固定費はいくらするんだろうと…。

 
【安川氏】
10万を超えてくるのではないでしょうか。
 
【ミカタ編集部】
一般的な企業に顧問に入って顧問料10万円もらえるなんてないですよね。そう考えるとお互いにとっていいと思います。他には開業する際に準備していたことはありますか? 

 

戦う税理士先生

【安川氏】
収入源は固定収入がメインになっていますので、前の事務所からのお客様の引き継ぎと新規顧客の獲得は重要だと思っていました。事務所がないので固定費は少ないのですが、それでも生活していかなければならないので、それをまかなえる売り上げは確保しておこうと。
 
【ミカタ編集部】
そうしますと開業するにあたって見込み客を事前に種を蒔いて準備していたということですね。見込み客を作るにあたって意識されていたことはありますか?

 
【安川氏】
私はもともと営業には縁のない人生を歩んできましたので、試行錯誤で交流会に出たり飲み会に参加したりしていました。並行して、なるべく顔を覚えてもらおうという意図でネタ作りのためにやっていたボクシングの延長で、こっそり試合に出たりもしました。
 
【ミカタ編集部】
結構本気でやっていらっしゃったんですね。

 
【安川氏】
不動産会社勤務当時は日の当たらない事務という職種をしていたので、ストレスも溜まっていまして。大学院と並行してやっていて、少し血迷った部分もあったのですが、30歳でプロデビューもできました。せわしなく生きてきた気がします。
 
【ミカタ編集部】
くだらないおやじギャグですが、「事務は日が当たらないからジムへ行く」と…。

 
【安川氏】
その通りです(笑)。そこで勝てばスポットライトも当たったのですが、負けてしまったのでちょっとよろしくはなかったです。でも宣伝効果にはなりました。やはりチケットを買ってくださいと言うとみなさん来てくださいますので、そういう意味ではよかったです。価値はあったと思います。
 
【ミカタ編集部】
「戦う税理士先生」はなかなか聞きませんね。

 
【安川氏】
ここで勝てればよかったんですけれどね。もう一回、今度はプロではないですが、おやじボクシングでもやろうかなと。
 
【ミカタ編集部】
なかなかチャレンジしますね。

 
【安川氏】
宣伝が下手なので、なにで宣伝をしようかなというのは考えてしまいます。
 
【ミカタ編集部】
それで自分のセルフブランディングのようなものをしていって、見込み客に見当をつけていったのですね。

 
【安川氏】
職種的にそこまでお客様の数がなくても、定期収入がメインですので20名いれば平均2万円として月40万円。最低これぐらい稼げれば、生きていけるという思いはありました。そういう意味では、前の事務所からの引き継ぎと温めていたお客様がいらっしゃったので、目途は立ったということです。
 

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