2018/03/06

開業1-6年で業界平均5倍以上の売上を突破した変わり者士業に学ぶ事務所経営術

<第1回>事務所の目的によって行動が変わる

<第1回>事務所の目的によって行動が変わる

2017年12月3日に士業向けイベント”KAWARIMON(カワリモン)”を開催しました。「KAWARIMON 爆速成長を実現してきた士業のここだけの話」の中で「開業1-6年で業界平均5倍以上の売上を突破した変わり者士業たち」と題しまして、パネルディスカッションを行いました。登壇したパネリストは、瀧井総合法律事務所所長・瀧井喜博氏、ゆき法務事務所代表司法書士兼家樹株式会社代表取締役・田代隆浩氏、行政書士法人エベレスト代表社員兼株式会社エベレストコンサルティング代表取締役・野村篤司氏、スタートパートナーズ総合会計事務所所長・古殿哲士氏です。進行は、株式会社ウェイビー代表取締役の伊藤健太です。
 

事務所の目的によって行動が変わるはず  

【伊藤】
みなさんこんにちは。このパネルディスカッションは午後の一発目ということで、とても僕の仲の良い先生たちをお呼びしています。弁護士さん、司法書士、行政書士、税理士さんに来ていただいておりますが、開業から大体1先ほど確認したところ古殿さんが2年目に入られており、一番長い方が田代さんで6年目です。田代さんは6年目と言っても34歳で、僕と野村さんが31歳、瀧井さんが34歳で田代さんと同い年、古殿さんが35歳。本当に若く、2年目から6年目の、年齢も31から35歳までの先生方ですが、各地域や各業界で新しい取り組みを行っていたり、既存の士業事務所としてのキャッシュフローとしても、とんでもないアウトプットを出したりしている先生方です。今日はまずこの70分のパネルディスカッションで、各先生たちがどのような人なのか、どんな考えを持っているのか、何をしているのかということを皆さんにお伝えできたらいいと思っています。では、最初に自己紹介をしていただきたいので、やりたい方からお願いします。
 
【瀧井】
みなさんこんにちは。瀧井と申します。私は大阪で弁護士をしており、この11月でちょうど丸2年経ちました。もともとブラック企業におりまして、働くことがとても嫌いでした。そんな中初めて入った法律事務所がすごく楽しかったのですが、おじいちゃんの事務所で、ずっと続けることはできませんでした。自分としてはずっと楽しい職場を作りたいという思いから早めに独立をし、弁護士が現状3名おり、今月四人目の弁護士が入ってきてくれます。事務員さんが4名います。とりあえず楽しく仕事をしてくれ、ということで今ここまで来ています。よろしくお願いいたします。
 
【田代】
司法書士の田代と申します。東京の立川市という、田舎の方で5年くらい前に司法書士として独立しました。もともといた事務所が解散になってしまい、苦し紛れに一人で始めた事務所です。最初の方はどうにかお金を回すために、債務整理や不動産登記、商業登記をやっていましたが、6年目を迎えた今年に、パンチのあることをやろうと思い、家系図の作成会社を始めました。作ったのと同時に、クラウドファンディングサイトで支援の募集を行い、結果的に3か月で1000万くらい得られました。サイトの中ではスタートアップという部門の中で1番を取ることができました。今年は一つ成果を出すことができたのでここに立たせていただいているのかなと思います。家系図の作成会社はこれから確実にうまくいく自信があります。その中で、次に何をしようかなと考えています。今は立川市でやっていますが、来週から銀座に移転し、東京の真ん中で勝負しようと思っています。以上です。 
 
【伊藤】
ありがとうございます。あとでまた田代さんに話を聴かせていただきたいのですが、士業事務所でクラウドファンディングを使ってお金を集めるところはほとんど皆無です。通常のクラウドファンディングでも1000万円級の案件というものはほとんどない中で、司法書士さんがクラウドファンディングを使って1000万円集めたことにとても意味があると思っています。「新しい飲食店の作り方」という話を僕はよくするのですが、昔のように自己資金を貯め、銀行から借金をして飲食店を建てるなどということはあり得ません。クラウドファンディングで2000万円集めて何を売っているのか。1万円の会員権を2000人の人に売っています。会員権を売っているので、2000万円と言っても借金ゼロで1店舗建てることが出来ます。これは画期的です。なおかつ2000人の見込みのお客さんがついてきています。これが最近の一番進んだ飲食店の建て方であって、こういう世の中の進歩と士業の掛け合わせは、今まで全くありませんでした。資金調達を手伝っている先生は税理士さんを筆頭にたくさんいますが、クラウドファンディングの提案なんてなにもやっていません。でもこれでは顧客の利益に損失を生んでしまっています。だから、田代さんのように新しいテクノロジーをユーザーとして自分で使いに行くことを、進んでやってほしいなと思っています。またあとで話を聴かせていただきたいと思っています。では、次の方お願いします。
 
【古殿】
みなさんこんにちは。スタートパートナーズ綜合会計事務所というところで税理士をやっております、古殿と申します。私は瀧井さんと同じく、大阪で事務所をやらせていただいています。東京の方のお客様が増えておりまして、現状は出張ベースでやらせていただいていますが、これからどうしようかと考えています。私は開業して1年3か月で、お客様はちょうど100件くらいです。結構良いスタートダッシュがきれています。実は伊藤さんとは開業前からいろいろお話をさせていただいており、集客には幸い困っていない状況です。ただ、どこの士業さんもそうだと思いますが、人の問題が当然ありまして、一朝一夕には解決しません。今は6人でやっていますが、今月一人入って、来月も税理士が一人入る予定です。一人入っても、その人がずっと勤めてはくれない前提で一人辞めたら二人採る、というスタンスで今のところやっています。これくらいの規模の事務所だと、できる人が一人辞めると大騒ぎです。自分の組織があたかもその人の組織かのように動かされる感覚になってしまいます。それがとても嫌で、お金はかかるのですが一人辞めたら二人採って、二人辞めたら四人採る、というスタイルでやっています。
 
【野村】
株式会社エベレストコンサルティング兼、行政書士法人エベレスト代表社員の野村篤司と申します。よろしくお願いいたします。株式会社と行政書士法人と2つあるのですが、メインは株式会社です。エベレストグループという、士業法人、士業を中心としたコンサルティンググループの運営をしております。またこの後のディスカッションでお話できたらなと思うのですが、うちにはベトナム人と中国人のスタッフがいます。優良職業紹介事業で募集株を発行して資金調達をし、新たに参入をしたり、相続AIを開発したりもしています。AIで相続相談を開発しようと、日本IBMの社員に株式会社に出仕してもらうなど、少し変わったことをしています。まさに今日のテーマです。以上。 
 
【伊藤】
先ほどパネラーの方々に、ちゃんとバリューを出すように僕からお願いしています。今日は僕の方から問いを持っているわけではないので、今までやってきて、どのように士業をとらえているのか、事務所経営において大切にしていることはなにか、ここまでの軌跡などをお話しいただいてもよろしいでしょうか。それぞれ素晴らしいアウトプットを出されています。瀧井さんで言えば、働きやすい事務所といったところですね。士業事務所は基本的にそんな観点を持っていませんので、離職が多かったり採用を繰り返していたりします。それがポジティブなものなら良いのですが、人がすぐ辞めてしまって補填の意図で、ネガティブに採用を繰り返しているという事務所はたくさんあると思います。「なかなか人が辞めない事務所」というのは瀧井さんのポリシーでもあり、文化にもなっていると思うのですが、それがなぜできているのかなどの話をしていただいてもよろしいでしょうか。 
 
【瀧井】
みなさん士業なので、よくできる方々の集まりで、なんでも自分でやってしまうと思います。幸か不幸か私はできることとできないことの差が激しいんです。例えば、僕はファイル整理にめちゃくちゃストレスを感じますし、できない。なので「助けてもらっている」という気持ちがすごくあります。だから、仕事が終わって帰るとき、多分みんな「お疲れ様です」という感じだと思いますが、うちは自然に「ありがとう」と言っています。また、僕らは基本的に労働集約になりがちですよね。仕事がばーっと入って、お金は入る。仕事をこなさなければならないので、しんどいじゃないですか。人を雇っている方だと、下の方たちが本当に忙しくなってしまいます。自分は楽しい職場を作りたいので、仕事を取りすぎることはやりたいことと真逆です。そこでどうするか。長期的には人を採らないといけないですが、短期的に考えたらみなさん何をしますか、というところで、僕は広告とかを止めました。お金は払ってしまっているので、広告費をもう取らなくしました。売上は下がるけれども本当にいい職場を作りたかったので、赤字は出ましたがそれでいいと思っていました。本当に人を定着させたいと思っているのなら、簡単な話、しんどくないように仕事量を調節し、やりたいことを聞いてあげるようにするといいです。みなさん、下の人に「どういう仕事をしたいの?」と聞いていますか?僕は聞きます。やはり経営者の役割って、組織に足りないものを取ってくることだと思うので、求める仕事がないのなら取ってくればいい。それができないのなら経営者としての資格がない、とまでは言わなくても、取れるように努力すべきだと思います。それくらい従業員のことを考えるべきだし、従業員は最大のお客さんだと思っているので、そういう意識を持っていけたらみんな楽しくやっていけるのではないかと、そのように行動しています。 
 
【伊藤】
瀧井さんとの付き合いは開業前からなので、今日一番まじめだなあと思いました。初めてそんな話を聞いて驚いています。素晴らしいなと。すごく大切だなと思ったのが、何を事務所の目的とするかだと思っています。事務所のトップラインの売上を伸ばすことよりも、ES(従業員満足度Employee Satisfaction)を上げることの優先度が高いと判断し、一度新規の営業を止めました、というのが先ほどのお話で広告をやめたということです。目的がどこにあるかによってその行動をとるかどうかが決まってくると思います。瀧井さんはどんな事務所を作りたいと思っていらっしゃいますか? 
 
【瀧井】
僕がいなくても勝手にみんなが生きたいように生きることができる事務所です。極論法律事務所でなくてもいいし、起業したいと言うのなら起業してくれていい。やはりみんなエリートなんですね。僕も含めみなさん。 
 
【伊藤】
瀧井先生はエリートじゃないと思いますよ(笑)。 
 
【瀧井】
僕、一応経歴はエリートなんで(笑)。エリートの人って、みんな与えられた物差しで生きるんです。いい大学行って、いい資格を取って。それって「生きている」って言えないと思うんです。僕は若かりし頃に一度殺されそうになって、その時に「生かされるんじゃなくて自分の意思で生きてやろう」と思ったので、それを身近な人にも味わってほしい。やりたいことができる環境を作るのが経営者の務めだと思っていますので、自発的にやりたいことをできる環境が作れれば僕はそれでいいです。
 

競合他社は士業じゃない、サービス業だ! 

【伊藤】
どなたでも良いのですが、みなさんの事務所はメンバーの数も5人から10人ほどいらっしゃると思いますが、創業時今のようになるという想像はありましたか?
 
【野村】
私のところはグループ全体で19人いるのですが、行政書士登録をした3年半前、開業前から、数字を売っているわけではありませんが日本一の売上にしたいと思っていました。うちの名前は「エベレスト」というのですが、「顧客満足の最高峰を目指す」ということをひとつ行動指針にし、「最高峰」の代名詞として「エベレスト」とつけています。顧客満足を追求していくと、そこに組織化や拠点化ということが当然ありましたので、弊社の場合は最初から大規模事務所を考えていました。よく「大規模化を狙っている」などと言われますが、全く逆です。理念が先にある、ということです。 
 
【伊藤】
ご存知の通り、僕は開業してから最初7カ月くらい売上がありませんでした。売上をもらえるという感覚も全くなく、横浜の近くの田舎にある家の近くで文房具屋さんをやっています、というような人をずっと馬鹿にしてきました。簡単に言うと。「やっていて面白いのかな」とか。でも僕はそれすらできない。売上をもらうという感覚が全くなかったのですが、みなさんは開業前からとても順調で、売上を上げるイメージはあったのかなと思うのですが…。 
 
【田代】
私は全くありませんでした。とりあえず飯を食わなきゃという気持ちで、自分の生活のためにやっていました。最初はそうだったのですが、人を雇いだすとその人のために「何かしてあげたいな」という気持ちになる。そうすると会社を大きくして、お金を稼げるようになればもっと給料も払えるし、従業員の家族を支えることに貢献できるという思いが生まれてきます。それから、利益を出してどんどん大きくしていこうという拡大志向に変わりましたね。 
 
【伊藤】
素敵ですよね。最初はイメージがなかったわけですが、何がきっかけで自分一人のキャッシュフローが回ってき始めたのかということと、なぜ人を雇おうと思ったのかという2点質問させていただきたいです。単純に業務量が多くなったから人を雇っていって、雇っていく中で今のような発想になったのでしょうか。 
 
【田代】
人を増やしてから考えるというのが一番いいと思いますが、回らなくなったら増やすという形で、常にずっと人が足りない状態でいます。 
 
【伊藤】
最初あまり売上を上げるイメージが持てなかったわけですが、それはどうやって突破しましたか? 
 
【田代】
私の場合、ある程度大きく始めるということをモットーにやってきました。士業の場合初めはお客さんをちょこちょこ取って、足りなくなって人を増やして、いつのまにか5年10年経っていました、というパターンが多いかと思います。大きく始めることで差別化ができるというか、そこでまず突き抜けることができます。大きく始めるのはいいことだという意識でいますし、私は広告代理店にいましたので、そのつてを使って少し大きめに広告を出しました。 
 
【伊藤】
他の方、大きく始めるってどうですか?古殿さん、身体が大きいから大きく始めているんじゃないかと思いますが(笑)。 
 
【古殿】
伊藤さんと出会ったのが、税理士試験の最後の科目に通っていない時で、あの時にもう独立は決めていました。おそらくそのときは食べていくためという感じでした。いろいろ準備をしていたら開業1カ月で10件くらい取れて、そのときに「これはいけるな」と思ってすぐに人を雇用しました。その後出てきたのが人との問題です。スタートアップ期はどこでもそうですが人って辞めます。いろいろ試行錯誤しましたが、最終的にマネジメントをやってくれる人を採りました。彼は実務はあまりやっていませんが、私と細かいことまで常に共有しています。そういう人を入れてからはできる人の定着率が上がり、良かったのかなと思います。そんな感じで、自分にとって嫌なことを1つずつつぶしていこうとしていて、今は、規模を大きくすればほとんどのことは解決するんじゃないのと思うようになりました。全てのことについて選ばれるのではなくて選べるようになりたい。 
 
【伊藤】
古殿さんと僕も、開業する前から存じ上げておりますが、普通の先生よりも圧倒的に可動域が広い方です。可動域とは行動のエリアなどのことですが、開業前からモチベーションがものすごく高く、貪欲さを感じていました。Facebookのやり取りやお話をお聴きする機会がたくさんあり、質問もたくさん投げかけられる。動いているから質問が出るんですね。本当に現実を進めていく人なんだな、と見ていましたが、開業前自信がなさそうでしたよね。 
 
【古殿】
初めて独立するので経験がなく、机上の話は頭に入っていても実際やってみるとどうかという不安はありましたが、やってみると意外とスーッといきました。 
 
【伊藤】
本当にそうですよね。まだ1年3か月くらいですが、顧問先100社いるというのはとんでもない数字で、古殿さんご本人も圧倒的に変わりましたよね。ご本人はわからないかもしれませんが、話す内容も以前とは全然違います。最初はどうやってお客さんを増やしていくかという問いでしたが、今はもうお客さんを増やすのは大丈夫だから、ということで、事務所作りなどのお話に変わってきていますよね。 
 
【古殿】
もう今は完璧に「人」ですね。 
 
【伊藤】
野村さん、どうですか?今日は開業前の方から開業したてての方、長くやっていらっしゃる方、さまざまな方がいらっしゃいます。野村さんは、この3年4年で20名くらい、顧問で100社くらい付くってすごいことだと思いますが、何を大切にしてその結果になったのでしょうか。 
 
【野村】
規模的な面では全然小さいと思っています。私は競合他社が士業とは思っていません。士業でいうと5人は大規模なのですが、僕はまだサービス業者として19人しかいないので、超零細です。そこは若干違うところです。実は僕はリクルートというものをしたことがなくて、せいぜいハローワークです。ハローワークだけですね。ではどうやって19人集まってきたかと言うと、もちろん大学時代からの知り合いもいますが、基本的には士業交流会で会って、理念やビジョンを話して「一緒にやろう」ということですね。なのでコストはあまりかかっていません。
 



購入が完了しました

引き続きのご利用をお待ちしております。
詳しい内容はマイページより確認できます。

決済が失敗しました

このコンテンツの購入は完了しておりません。
再度購入を行ってください。

メールアドレス認証が完了していません

認証手続きが完了しないとご利用になれません。 再送する

ログイン

評価の投稿やお気に入り登録、誰かをフォローするにはログインが必要です。

パスワードをお忘れの方はこちら

会員でない方はこちらから無料会員登録ができます。

ログイン

メールアドレスとパスワードをご入力ください。

パスワードをお忘れの方はこちら

会員でない方はこちらから無料会員登録ができます。

無料会員登録

メールアドレスとパスワードをご入力ください。

ログイン

メールアドレスとパスワードをご入力ください。