2017/11/20

士業事務所の求人とは?~求人を出す際に気を付けるポイント~

士業事務所の求人とは?~求人を出す際に気を付けるポイント~

皆さんは士業事務所として求人を出された経験はあるでしょうか?求人を出す際に気をつけるべきポイントと言うのは、一般企業であろうが、士業事務所であろうが、共通する所は沢山あります。その中でも士業事務所が特に気をつけるべき事と言うのもありますから、総合的な面から見て、解説を行って行きたいと思います。

1.日本社会における労働環境の問題

まず、総合的な観点から、日本の企業や士業事務所等が求人を出す時に、根本的な問題として考えられる事から上げてみましょう。近年ブラック企業と言うワードがメディアでも話題となっているわけですが(実際に毎年ブラック企業大賞というものがありますね。)、あなたの事務所で求人を出すと言う事は、人材が必要だから出す、と言う事ですよね。つまり、人手が足りないから、他の働ける従業員を雇うと言う認識の方が結構多いと思います。

しかしながら、残念な事に、人材が足りない、足りないと言っているわりには、従業員を低賃金で雇って、コマのように扱う事だけしか考えていない経営者が多く見られます。

少し話題となった例があるので、解説しておきましょう。米国に本社がある会員制の卸売小売チェーンであるコストコ、皆さんご存知ですよね。
コストコが新店舗を出した際、求人としてかけた時給の金額は、1200円でした。その新店舗をオープンさせた周辺の平均的な時給は、850円程だったんです。そこで、周囲のお店等を経営している人々が、コストコへ苦情を言いました。この辺りは従来から、このくらいの時給でやっているのに、コストコが1200円も時給を出すと言う事で、人材不足が起きたと・・・。

この状況を知ってみて「周囲の企業がアホなだけやろ」と思わない人はかなり既存の社畜精神に毒されているとも言えます。
しかし、コストコにすれば、関係のない事です。コストコは自分たちの店舗で従業員として働いて貰うならば、この時給が適切だとして、提示しただけの事だからです。周囲が困ると言うのは、人材が不足するからと言う事でしたが、はっきり言って、時給をコストコ並みがそれ以上の金額に上げれば人材は確保できる話なのです。

つまり、働く従業員を大切にすると言う考えが不足している抽象的な例だと言う事が言えます。給料が高いからすべてが良いと言う事を伝えたいのではなく、企業が従業員を大切に思う気持ちが必要だと言う事なのです。

そのような観点から、求人を出す前に、理解しなければならない事は、その事務所が経営をしていく上で、必要となるのは「同じ人間」なのであって、決して「物」ではありません。その事を理解せずに、使えればいいやと軽い気持ちで考えているようでは、優秀な人材はまず集まってきませんし、仮に雇ったとしてもいずれは離れていってしまうでしょう。会社を永続的に経営していく為には、従業員は欠かせません。勿論の事ながら、会社がないと経営自体が出来ないわけですが、そこで働く従業員と言う人材も無ければ、どちらも成り立たないと言う事を経営する側も考える必要があると言う事なのです。

2.士業ならではの求人のポイント

士業と言う業種は、様々な業種の中でも専門性が高い事で知られています。士業になる為には、まず難関の国家試験に合格する必要がありますし、士業と名乗るだけでも登録をする必要がありますから、一般的に学校を卒業して会社に就職すると言う事と比べれば、少し特殊だと表現する事もできます。また、業務内容においても、その資格を活かした内容となる為、一般企業と比べれば少し違いがありますね。

しかしながら、少し考えてみて下さい。士業と言う業種は、先生と呼ばれるような時代はすでに終わっており、もはやサービス業と表現できる世の中です。資格だけでは生き残れませんし、その業界で生きていく為には、様々な能力が必要です。マーケティング能力から、コミュニケーション能力まで、その域は多種多様となってきました。

例えば、相談したいと思ったお客様が、電話で問い合わせをしてきたとします。その際、私は士業の先生だと思って対応する方だったら、問い合わせをされた方は不愉快に思われるでしょうし、そんな士業事務所に最終的に依頼をかけたいと思わないのと同じ事で、このような対応をする人材を雇ってしまうと士業事務所にとっては大きなマイナスとなります。

更にわかりやすい例として上げられるのが専門用語ですね。士業の資格を持っているあなたにとっては、法律等の専門用語は、耳に入っただけで、一瞬で理解する事ができます。

しかし、士業事務所に問い合わせや相談をされる方は、その士業に関する事がわからないから聞くのです。知っているのなら、士業事務所は、そもそも存在する意味はありませんし、国家資格も不要です。このように、自分が知っているから当たり前の事であっても、お客様の立場になってわかりやすい表現や言葉を使って対応ができない従業員を雇ってしまうのは、事務所の存続を危機的な状況下に追いやります。

厳しい事を申しあげますが、履歴書の資格欄に「士業の国家資格」と書かれていても、「それはわかりました。で?あなたは何ができるのですか?」と問いかけるべきなのです。士業事務所で働くのですから、資格を持っているのは単なるスタートラインであって当たり前の事です。大切な事は、士業と言う資格ではなく、面接に来た本人が、自身の事務所に入って、お客様に満足してもらう為には、どのような対応ができ、どのようなサービスを提供する事ができるのか?また、その士業事務所の経営を更に向上させて行く為にはどのような事を行えるのかが重要であり、資格は、はっきり言って関係ありません。

求人を出す側も、この事は基本中の基本であると言う認識を持って求人を出す必要があると言う事なのです。

3.WHYの視点で考える

皆さんは、サイモン・シネックと言う方をご存知でしょうか?求人をする上で、とても重要なものに繋がる事なので、少し簡単に紹介しておきたいと思います。(※ただし、ここではあくまでも士業事務所の求人に対するコンテンツとなりますので、細かい詳細については省略させて頂きます)

サイモン・シネックは、イギリス・ロンドン生まれの作家であり、マーケティングコンサルタントです。この方のお話の中に、「WHY」と言う言葉が出てきます。日本語で直訳すると、WHYとは「なぜ」ですよね。会社等を経営していく上で、サイモン・シネックは、WHYが重要だと言っています。サイモン・シネックは、物事にはパターンがあり、有名なアップル社や、飛行機で有名なライト兄弟の事等を筆頭に、世界の優れた組織等は、共通するものがあると言う発見をしました。

まず、お金を稼ぐ為は、なぜの答えにならないとしたのです。人は、「なぜ?」「どうやって?」「何を?」と言う考えを持ちますが、何を?しているかについて、ほとんどの人は理解します。そしてそれを行うのに、どうやって?するのかまでも、理解できますね。

しかし、なぜ?それをするのか・・・と言う事までは、中々考えないのです。あなたが士業事務所を経営するのはなぜですか?即座に答えられる人は、実際には少ないと思われます。上記で出てきた有名なアップル社やライト兄弟には、このなぜ?が、しっかりあったと言う事なのです。

このサイモン・シネックについて、もっと詳しく知りたい方は、参考ページを辿って下さい。
(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=4VdO7LuoBzM
(Amazon書籍)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532317673/shishi0b-22/

つまり、どういう事かと言うと、あなたが事務所を経営する上で、なぜ、あなたが士業事務所を経営するのか?どのような事をしたくて士業と言う業務を行うのか?等。これらWHYと言う、なぜ?と言う事を示す必要があると言う事なのです。

例えば、あなたが士業事務所を経営する事で「世の中の人の役に立ちたい」と思っているのであれば、それがWHYになります。その事を求人で訴えなければ、WHYを理解していない方が集まってしまうと言う事になるわけです。こちらのWHYを理解して貰い、この事務所に入って、どのような事がしたいのか?この事務所に入ったら、自分だったらこのような事ができる!等。求人の段階で、ここまで示す事ができれば、ある程度こちら側が必要としてる人材が集まりやすくなりますし、ここで選別をかける事が可能となるのです。

2.でも解説させて頂いた通り、士業事務所として、同じ資格を持っている方を雇いたい場合、その士業資格を持っている事は大前提ですよね。

しかし、ただ資格を持っていると言うだけでは、戦力外です。上記のように、こちらの士業事務所としてのWHYを出し、それを理解した上で、その事務所での、その方のWHYを出して貰う事も大切です。

例えば、単純に「未経験可」と求人するとしましょう。その結果は、マニュアル通りのルーティン作業しか行えない方が集まることは、あなたも予想できるのではないでしょうか。ルーティンしか行えないとは、具体的に言うと、士業事務所に入っても、毎日毎日、機械的に、同じ事を、同じようにこなす事しかできないと言う事です。これだったら、別に雇用した方でなくても、誰でも良いと思いませんか??

士業は特に、相手にするお客様は不安を抱えている場合や、専門的な問題を抱えているケースが多くなります。士業としての資格を活かして業務を遂行するだけでは、集客は見込めません。その士業事務所が、いかに繁栄して行き、従業員も同じような思考と共に行動する事ができるのかが大変重要だと言う事になるのです。

ですから、まずは求人の段階から、こちらが求める人材と、こちらが持っているWHYをわざと事前に提示する事により、より良い人材を確保できる事ができると言えるのではないでしょうか。ルーティンだけをこなすだけの人材では、雇うだけ無駄・・・と言う事になってしまいます。

4.ザッポスの求人例

知らない方もいらっしゃるかもしれませんが、ザッポスと言う靴のネット販売をしているアメリカの会社をご存知でしょうか?ザッポスは現在、ネットショップの巨人amazonに買収されていますが、この会社は求人をする上でも、とても参考になると思いますので、解説しておきます。

3.でも出てきたWHYですが、ザッポスのWHYは「サービスを売るのが目的」です。「ん?靴のネット販売会社なのに、靴を売るのがWHYじゃないのか?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。靴を売ると言う事は、あくまでも上記で言う「何を?」に分類されます。

この会社はサービスを売るのが目的なのです。

ザッポスの入社には、一般的な会社にはない、特徴があります。まず、面接の段階で、99%の方が落とされ、合格率はわずか1%です。次に、面接に合格すると研修を受けるのですが、研修が始まって2週間後、ここで一旦ザッポス側から研修を受けている方に問いかけがあります。それは、「自分とザッポスが合わないなと思う方には採用辞退ボーナス2000ドルを出します」と言うものです。

つまり、面接に合格し、研修を受けている段階でも、1%の人材にさらなる選別をかけるのです。また、2000ドルあれば、次の会社を探すのに、生活費に困窮すると言う事も考えにくくなりますし、ザッポスのWHYに当てはまらない人を選別する事が出来ますので、お互いの為と言う事にもなります。更に凄いのが、この採用辞退ボーナスは、2週間後の一回だけではなく、7週間後にも行われ、その時は更に高い金額の3000ドルが支払われます。

ザッポスは、従業員に対し、WHY=サービスを売る事としていますが、それ以外にもいくつかのワードがあります。例えば、「変化を受け入れて、その原動力となれ」や、「楽しさと、ちょっと変わった事をクリエイトせよ」や、「間違いを恐れず、創造的でオープンマインドであれ」等です。(他にもあります)自社のWHYと、考え方を従業員と共有しているわけですね。

このような事から起きたと想像できるのが、面白い話なのですが、サービスを売るわけですから、ザッポスの従業員が応対するコールセンターに、靴とは全く関係のないピザを注文したら、実際に届いたと言う話があります。日本のコールセンターでは考えにくい事だと思いませんか?おそらくは「うちはそのようなことはしていません」と怒気をはらんだ言葉を吐かれて電話を強い調子で切られることは想像に難くないでしょう。

また、amazonが買収した際にも、ザッポス側が提示したのは、「ザッポスのWHYに立ち入らない」と言う事であり、amazonもそれを承諾しています。ザッポスは、このように、従業員を大切にしながらも、従業員に会社のWHYをしっかり理解して貰っている事がわかります。

そして、求人の話に戻りますが、このようにザッポスでは自社で勤務する方をここまで選別していると言う事になるわけですね。これはあくまでも参考にして頂きたく紹介しましたが、必ずしも同じ事をしなければならないと言う事ではありません。求人をする上でも、事務所の事をしっかり理解し、そこで共に頑張ってくれる人材が必要だと言う事なのです。そうなれば、必然的に事務所の成長にも繋がりますし、互いに相乗効果も生まれます。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか?

士業事務所だけではなく、一般企業にとっても言えてしまう事が多かったと思われますが、士業と言う業種は、一般企業にはあまりない専門性の高さが、業務内容としても求められる事になります。

しかしながら、あくまでもお客様は同じ人間ですし、その士業事務所で働くのも人間です。人と人とが繋がりを持つ以上、コミュニケーションから、様々な対応の仕方が求められるのです。今回は求人の基礎と言うよりは、応用編に近い形で解説をさせて頂きましたが、士業事務所を盛り立てていくのは、経営者だけではなく、従業員も同じ事なのです。

そして、その一緒に働いてくれる従業員を大切にしなければ、優秀な人材から離れていってしまうのも事実なのです。求人をかける際には、まず、士業事務所側としての考えや、どのような方を求めているのかを具体的に提示し、その気持ちや考えに賛同してくれる方を選ぶ事が大切です。士業だからと言って偉そうにしている人は論外ですし、対応の仕方も大切な事です。

例えば、行政書士事務所にかかってきた電話を従業員が受けたとして、電話の内容が事務所が扱っている物と違っていたとしても、「ご紹介しましょうか?」等と、事務所のイメージUPを考えたり、将来的にお付き合いがあるかもしれないと言う事。また、紹介した相手先からも、今後逆に紹介があるかもしれない等、様々な観点から予想してお客様の役に立てる人材は優秀です。

求人の段階である程度選別をかけ、面接でもしっかり確認作業が必要になると言う事です。

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