2017/11/16

士業の独占業務って何?~士業になったら何が出来るの?~

士業の独占業務って何?~士業になったら何が出来るの?~

皆さんは、独占業務って聞いた事がありますか?普段あまり耳にされないと言う方も多いでしょうから、そもそも独占業務自体のワードには馴染みがなくても、普段私達が生活をする上で独占業務を行っている方は沢山います。また、士業と言う、弁護士や行政書士、司法書士、税理士、社会保険労務士等の業務の中で、それぞれの独占業務とは一体何なのか?ここでは、それらを合わせてあらゆる観点から見ていきたいと思います。

ではまず、そもそも独占業務とは何か?ということから解説して行きましょう!

1.マンガやドラマから見る独占業務とは?

そもそも独占業務とは、言葉の通り、「独占」する業務ですから、その人達だけにしか出来ない業務と言う事になります。世の中には、この独占業務と言うものは数多くあり、その中でも1番イメージして頂きやすいのが、お医者さんではないでしょうか?ちょっと分かりにくいと感じる方もいらっしゃると思うので、マンガで想像してみましょう!

1-1.マンガ「ブラックジャック」から独占業務の意味を考えてみる

医師は、医師免許を持っている人しか医療行為を行う事ができません。例えば、有名なマンガで手塚治虫先生の「ブラックジャック」がありますよね?ブラックジャックは、医術の優れた知識と才能の持ち主ではありますが、医師免許を持っていない無免許医師です。

しかし、手術等を行った際、依頼した患者に対して2億円や3億円の高額な医療費を請求するのは当然の事で、過去のマンガを確認すると、なんと一回の手術で150億円なんて請求もありました!ひっくり返りそうな金額に、ビックリした印象が記憶に残っている人も多いのではないでしょうか?

話を戻しますが、この医師も、医師免許を持っている人しか業務として行う事ができませんから、これも独占業務と言う事になります。

1-2.マンガからドラマ化された「カバチタレ!」で考えてみる

こちらも、独占業務を理解する上では分かりやすいと思いますので、紹介しておきます。

ちょっと古いドラマなので、知らない方もいらっしゃるでしょうし、「あぁ~なんかそんなドラマあったな!」と思い出される方もいらっしゃると思います。ドラマ「カバチタレ!」は行政書士事務所の物語となっており、行政書士も士業の1つですね!このドラマの中で、行政書士と弁護士が、目をバチバチ!とさせ、弁護士から忠告を受けたり、実際に刑事告訴すると言われてしまうるシーンがありました。この行政書士事務所は、依頼人に代わって、取り立てを行ったり、示談の交渉等を行っていた事が問題となったのです。

そもそも、弁護士法の27条には以下のように記載がされています。
「弁護士でない者は、弁護士でなければすることができない業務を通じて得た報酬その他利益の分配を受けてはならない」とされています。

つまり、弁護士ではない人が報酬等を目的として弁護士が本来できる業務をしてはいけないと言う事ですよね。もし、これをやってしまったら「非弁行為(ひべんこうい)」と言って、弁護士法違反となってしまいます。
つまり、弁護士の独占業務に踏み入ったと言う事になるわけです。

そして、ドラマでは、最終的に、弁護士から「弁護士法で刑事告発する」と言われてしまうわけです。「行政書士は、書類を作成するだけで、事件の相手と交渉する事は許されない、行政書士が扱うべき業務を忘れている」と、言われてしまったのです。行政書士事務所側は、「無料で相手と話し合いや交渉をしている、報酬は書類作成代だけなので何も問題はない」だと主張しますが、弁護士に「書類作成代に交渉の料金を上乗せしているだけの事だ」と言われてしまいます。

ちょっと話を戻しますが、上記の弁護士法27条を思い出して下さい。
「弁護士でなければする事ができない業務を通じて得た報酬その他の利益の分配を受けてはならない」となっていましたよね?

つまり、弁護士でなければやってはいけないとされている業務を、この行政事務所は行ってはいますが、その報酬は貰っていないと主張したわけです。
正直、非常に微妙なラインと言えます。報酬は得ていない、無料で相談や交渉をしているんだから問題ないでしょ?と主張するのであれば、実際に弁護士側も相談料等を取っていると立証しなければなりません。

しかし、一般的に弁護士側から考えれば、弁護士の独占業務に入り込んでいると言われても仕方がない事になります。

以上の事から、少しご理解頂けたかもしれませんが、士業の中にも独占業務と言うものがあり、そこには法律が存在しています。

しかし、法律に違反していなければ、やっても良いと言う事になりますから、非常に厄介なラインだと言えるわけです。つまり、士業の資格を持っていない人が士業の仕事をするのは、完全に違反ですが、士業同士では微妙なラインがあると言う事を理解して頂ければと思います。ただし、基本的には、士業間で「弁護士は弁護士業務」「行政書士は行政書士業務」と言う当たり前のような一線が設けられているのも事実ですから、この枠をギリギリ超えてまで業務を行う士業は、あまり居ないだろうと言うのが、一般的な解釈だと言う事が言えるのです。

2.名称独占とは?

では次に、独占業務ではなく、「名称独占」と言うものについて、解説しておきたいと思います。名称独占と言うのは、上記で解説のあった独占業務より、少しゆるい独占の範囲になると思って頂ければと思います。こちらも、わかりやすいように、例を上げて解説してみましょう。

2-1.中小企業診断士や、理学療法士等で考える

例えば、中小企業診断士は、国が国家資格として認めた唯一の経営コンサルタントのプロです。

しかし、世の中には、中小企業診断士試験に合格をしていなくても経営コンサルタントと名乗っている方が数多くいらっしゃいますよね?実はこれは、先程の弁護士の例と異なって違法ではありません。経営コンサルタントは、中小企業診断士しか出来ないと言うわけではないからです。

しかし、資格を持たない経営コンサルタントが、中小企業診断士だと名乗ってコンサルティングを行う事はできません。つまり、この中小企業診断士と言う名称が名乗れないと言う事です。名称を独占すると言う意味合いとなります。

では、理学療法士はどうでしょうか?
理学療法士は、医療現場等で、リハビリ等を行う専門家です。

しかし、リハビリと言う行為自体を、理学療法士の資格を持っている人以外が行う事は法律上では違反とはなりません。つまり、「今から理学療法を行います」と言えるのは、理学療法士の資格を持っている方だけですが、違う表現で「運動を行いましょう」とするのであれば、理学療法士の資格は要らないと言う事になるわけです。ですから、名称が制限されていると言う認識を持って頂ければ良いのではないかと思います。

3.士業それぞれの独占業務とは?

では、次は具体的に、士業の資格を持って、どのような独占業務があるのかを見ていきましょう!

まず、上記にも出てきた弁護士業務ですが、弁護士は士業の中でも最高峰だと思って下さい。ですから、基本的な士業の業務について、弁護士は他の士業が行っている、あらゆる法律の分野にも手を出す事が可能であり、オールマイティーな士業と表現する事が可能です。では弁護士以外の士業には、どのような独占業務があるのでしょうか?

3-1.行政書士の独占業務

行政書士は、国家資格であり、法律の書類に関するプロです。現在は「街の法律家」と呼ばれていますが、昔は、「代書屋さん」と呼ばれていた時代もありました。この行政書士にも独占業務と言うものがあり、行政書士法と言う法律によって業務の範囲が守られております。

まず、官公署に提出書類等については、独占的に作成や代理を行う事が可能となっています。官公署と言うのは、国や地方の公共団体の諸機関の総称とされており、行政機関の事を指しています。つまり、具体的には、各市区町村の役場を始め、警察署や、入国管理局、法務局、税務署、年金事務所等の事を意味します。これらの官公署に、書類を出したり、誰かの代理として提出したりする事が可能です。

ただし、税理士業務となっている税務書類に関してや、司法書士法による制限で裁判所の提出書類、また、社会保険労務士法による制限で労働基準局へ提出する書類等は除かれる事になります。ですから、書類だからと言ってなんでも行政書士の独占業務と言うわけではありませんので十分に注意するようにしてください。

ただ、じゃあ何の書類を扱うの?と言う話が出てきそうですが、基本的に書類の中で他の法律により制限を受けている書類自体は大変多く、行政書士が作成を行う事が可能である書類に関しては1000種類を軽く超えていると言われています。更に、独占業務として「事実証明書類の作成」があります。これは、このような事実がありましたと言う内容を記載した書類の事を意味しております。生活に身近なものとして具体的に挙げられるものとしては、車の車庫証明等が一般的に上げられます。

次に、「権利義務の作成」があり、具体的には、遺言書や、会社の定款、そして民間の契約書等が該当します。ちなみに、解説の上で、書類の作成や代理業務があると申し上げましたが、作成に関しては行政書士の独占業務に該当していますが、代理で提出の手続きを行う代理業務や、行政書士が作成できる書類についての相談等は、非独占業務となり、行政書士の独占業務の範疇には入らない業務分野となっています。

また、その他に具体的な行政書士の仕事としては、会社を設立する際の手続きを行う業務や、会社を登記する業務以外の業務についてはサポートを行う事が可能です。ちなみに、登記(商業登記や不動産登記など)については司法書士の独占業務となっています。ただし、ここにもこれまでに出てきたような落とし穴があり、登記に関する業務を除けば書類を作成したりする事は可能なわけですから、会社設立等の登記が必要な依頼を受けた場合、書類を作成するのは行政書士が行い、会社を設立する本人である依頼者が登記をするのであれば問題ないと言う事になってしまいます。

3-2.司法書士の独占業務

次に司法書士の独占業務についてですが、基本的には大きく分けて2つの独占業務があります。1つ目は、法務局に対して申請を行う書類、2つ目は、裁判所に対して提出を行う書類に関する業務です。

3-1でも申し上げたように、司法書士の独占業務の中に、登記に関する業務があります。登記と言うのは、不動産や会社でも同じ事なのですが、法務局にて、「この家や土地等の不動産」「この会社」が、この人の物であると登録し、証明する為に必要な事となります。ですから、例えば家やマンション等の不動産を購入する際に、全ての契約をする上で出てくるのが司法書士となっており、登記に関するプロと言って良いでしょう。

その他の業務としては、告訴状の作成をする事が可能です。更に、目的価額が140万円以内の場合に限り、簡易裁判所にて訴訟の代理を行う事や、仮差押命令申立の代理業務や、仮処分命令申立の代理、また、少額訴訟の債務名義による差押え命令の申立を代理する事が可能です。それ以外にも供託の代理申請等も行う事が可能となっております。ちなみに、この供託に関する代理申請とは、家賃の弁済供託の代理や、営業保証供託の代理等の事を言います。また、それ以外にも、相続放棄に関する申述書を作成したり、成年後見開始を申し立てる書類の作成等、あらゆる独占業務が存在しております。

3-3.税理士の独占業務

税理士は、依頼者からの報酬を受ける事によって、税務署との折衝(利害関係者同士の問題を解決したり駆け引き等をする事)や、税務署類に関する書類の作成等を行う、税務関係のプロです。税理士の独占業務としては、まず、税務書類の作成を行い、それらに関する申請や請求等の手続きを代理して行う事です。また、会計帳簿や決算書の記帳や作成業務を扱っており、場合によっては税務に関する専門知識を企業や依頼者側に指導する事もあります。また、それらの代行業務を始め、会計ソフト等を導入したり入力する為の指導も行います。

つまり、節税等を含めた税務に関するスペシャリストと言う事になります。また、公認会計士の業務が上場している大きな規模の会社等の決算書をチェックしたりするのに対し、税金に関しては税理士だけが認められている独占業務だとされております。

3-4.社会保険労務士の独占業務

社会保険労務士は、労務に関するプロであり、独占業務としては社会保険の手続きに関する書類や、労働保険に関する書類、これらの書類の作成と、提出が独占業務とされています。また、その他にも、就業規則の作成や、提出等が上げられます。近年、ブラック企業、ブラックバイト等と言うワードも目立つようになり、労働に関するトラブルが増えてきている為、社会保険労務士と言う士業は欠かせない業務を行う方々にもなってきていますね。

4.まとめ

これまでの説明で、士業の独占業務と言っても、様々である事が少しは理解して頂けたのではないでしょうか?これらは国家資格でもあり、それぞれ独占業務と言う観点で法律が存在しています。

しかし、逆を言ってしまうと、法律に違反しないのであれば、他の士業にも立ち入れる可能性もあると言う事になります。ただし、これを全ての士業が行い出すと、士業同士でトラブルになりかねませんし、問題として取り上げられてしまう可能性があります。自分が士業として行う事ができる範囲である庭に、他の士業が割り込んできてしまうと、そもそも、その士業の資格と言う意味では、存在価値がなくなってしまいます。それぞれ、その士業としてのプロとして活躍されているのだと認識して頂ければと思います。

ただし、最初に説明した通り、弁護士の場合は、オールマイティーな士業です。法律に関する士業としてはトップとなりますし、従来の考え方であれば、弁護士は裁判や、事件等の案件を扱っている印象ですが、弁護士業界も衰退していると言われている時代でもありますから、弁護士資格を持っている場合であれば、従来の範疇に囚われず、様々な業務に手を出していくと言う事も考えられなくはないでしょう。

皆さんも、士業として、何の業務を行う事ができるのか、今一度考えてみてはいかがでしょうか?

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