2017/11/03

士業のワンストップサービスって実際どうなの?

士業のワンストップサービスって実際どうなの?

士業におけるワンストップサービスと言うものが誕生し、近年増加傾向にあるのを皆さんはご存知でしょうか?ワンストップとは、一箇所にお願いすることによって、様々な案件を処理できることにあります。

士業における業務には、各士業によって独占業務があります。その士業にしか出来ないと言う独占した範囲があると言う事ですね。お客様からすれば、一箇所にお願いすれば、様々な事が解決できるわけですから、大変重宝されるのではないかと思いますが、実際にはワンストップサービスってどうなのでしょうか?様々な利点や、難点、あらゆる方向から見ていきたいと思います。

1.そもそも独占業務って何?

弁護士にしか出来ない仕事、行政書士にしかできない仕事、その他司法書士、税理士、社会保険労務士等など・・。士業と言っても様々な種類があり、それら士業が全ての業務を行う事が出来るわけではありません。
わかりやすく例を上げて解説してみます。

例えば、相続が起きたとしましょう。相続が起きると言う事は、誰かが亡くなり、その方が残した財産を相続人となる人が相続をすると言う事なわけですが、相続が起きた時には、その相続をする内容によって、1つの士業で全ての業務を解決できないと言う場合があります。相続をする側である亡くなられた方の事を被相続人と言うのですが、この被相続人が財産として残した物の中には、現金を始め、貴金属や宝石、土地や建物等の不動産、マイナスの財産となる借金等が上げられます。

では、相続案件を扱っている行政書士事務所にお願いする事にしたとしましょう。行政書士は、相続に関するプロですから、まずは誰が相続人になるのか?と言う観点と、何が財産として残されているのかを確認します。遺言書があり、その遺言書が正式な物であるならば、基本的にその遺言書の内容通りに相続分を決定し、不服がある人については、法律の上で認められている範囲まで相続分を増やしたりする対応を取ります。

また、遺言書がない場合においては、法律に則って法定相続人を割り出し、法律に則った内訳を行います。これらの相続案件は、行政書士ならばプロなんだから、全てお願いしてしまえば良いと考える方も多いかもしれませんが、実はそうではありません。例えば、土地や建物等の不動産を相続する方は、元々登記と言って、被相続人の物であると言う証明の為に、不動産は被相続人の名前で登録(登記)が行われております。これを相続する場合には、その土地や建物の所有者の名前を名義変更しなければなりません。この登記を行うのは、行政書士ではなく司法書士なのです。

こうなった場合、そもそもの相続に関する案件としては行政書士だけで行う事が可能ですが、登記に関してご自身で手続きを行えない場合、別で司法書士に依頼をかけなければなりません。そうなると、行政書士にお願いし、その後司法書士にも依頼をかけなければならず、二度手間になってしまいます。更に、相続に関して考えられる事が、相続税です。元々被相続人の財産であった物は、被相続人が生前に作った本人の財産です。日本では、この財産を譲り受ける場合、一定の範囲で課税を行っているのです。

つまり、これはそもそも被相続人が作った財産なのだから、簡単にタダで貰えるわけではないですよ~と言う事になります。被相続人が相続させたい人を決めていて、その人に財産を譲りたいのですから、被相続人の勝手だろう!と言ってしまえば、おしまいなのですが、日本は相続にも税金を払って!と言う国なのです。国が作った財産ではないのに、課税されるなんておかしいなと思われるでしょうが、決まっている事なので仕方がないですね。支払わなくて脱税だと言われてしまうと困りますから。

話を戻しますが、この相続税は、税金ですから、この専門家は税理士と言う事になります。特に、相続する分が大きいと、税理士にお願いする方がトラブルを起こさなくて無くて済みます。

つまり、ここまででも、士業として行政書士、司法書士、税理士の3士業が登場する事になるわけです。

士業事務所と言っても、沢山ありますから、普段士業事務所と関わりを持たない方にとっては、それぞれで、どこの事務所にお願いするべきなのか?から悩んでしまいますし、はっきり言ってこのケースの場合、相続が起きているわけですから、被相続人の死亡と言う悲しみや、お葬式の手配、遺品整理等、やる事が山積みの状況が考えられます。そんな時に、それぞれの士業事務所を探したり、選んだりしている時間的な余裕と、精神的な余裕は、あまり無いと言えます。

この場合に、ワンストップサービスを利用する事ができるのであれば、一箇所にお願いする事によって、お願いした全ての事が一度の依頼で解消しますから、その点ではワンストップサービスと言うものは便利であり、ニーズがありそうですね!このように、士業と言っても、それぞれで独占業務がありますから、依頼する側にとっては、独占業務と言う名に支配される必要はありませんから、利用したいと考える方も多いのではないでしょうか。

2.ワンストップサービスの問題点

では次に、問題点について見てみましょう。ワンストップサービスと言っても、実際にはワンストップになっていないのでは?と疑いたくなる事務所も存在しています。どのようなケースが上げられるのでしょうか?ここでは、依頼する側と、実際の士業事務所としてからの視点で見てみましょう。

2-1.連携はしているが、それぞれ窓口は別(依頼者側)

1番問題だと言えるのが、各士業事務所が別々の事務所であり、それぞれで連携する形でワンストップサービスを展開している事務所たちです。ワンストップサービスと謳っているくせに、実際には別々の士業事務所ですから、それぞれの事務所に行って各独占業務の内容を依頼しなければならないとなると、ワンストップサービスと言う事はできません。

例えば、上記の相続例で言うと、最初に行政書士にお願いするとします。では、「税金の関する事は、この税理士事務所へお話しておきますから、ご自身で訪問して下さい」と言ったり、「不動産の登記に関しては司法書士となりますから、この司法書士事務所へ伺って下さい」等。これってどう思いますか?結局3箇所に訪問する羽目になっていますから、ワンストップサービスとは言いづらいですよね?単純に連携している事務所を紹介しているだけなので、依頼者にとって利点となるのは、ご自身で探す手間が省けているだけの事に過ぎません。

このような士業事務所は、はっきり言いますが、「ワンストップサービス」と謳ってはいけません。1箇所にて依頼内容が全て遂行されていないからです。また、この場合、他に上げられる問題点としては、紹介はしてくれたものの、それぞれの窓口で、更に同じ事を説明しなければならない場合があると言う事です。一度お願いした士業事務所に全てを話しているにも関わらず、連携している士業事務所に内容を全て伝えておらず、また同じ説明をしなければならないと言う、二度手間、三度手間を依頼者にさせる事になってしまいます。これが果たしてワンストップと言えるでしょうか?また、親切な事務所だと言えますか?

言えないと言うのが、正直な所です。本当にワンストップサービスとして良い事務所と言うのは、依頼者が一回事情を説明し、依頼をかけた時点で全ての事が終了するのがワンストップサービスです。士業同士で連携するのは良い事ですが、依頼者にとってあまり意味のないワンストップなのであれば、ただの士業間同士の満足だけであり、自分達の利益だけを目的としているに他ならないと言う事になってしまいます。

2-2.士業弱者の集合体(士業事務所側)

近年、士業事務所と言うのは、衰退傾向にあると言う事実は避けられない状況となってきました。このような背景から、士業として個人で事務所を経営する能力がないと言う理由によって、様々な士業と連携をしたり、実際に総合的な事務所として、1つの事務所に様々な士業を常駐させると言う形のワンストップサービス士業事務所が増えています。勿論、その中には、本当にそれぞれの士業の意識が高く、お客様に取ってもより良いサービスを提供しているワンストップサービス事務所も存在しています。

しかし一方で、1人ではマーケティング能力もないし、他の士業に勝てないからと言う理由だけで、集合体となっている事務所も存在しています。このような事務所は、一人一人の意識が低い事が伺えますし、サービスをする上でも品質としては低いものとなります。確かに、士業が増えていく中で、ライバルや競合しなければならない相手は沢山いるのは事実です。

しかし、士業としてお客様の役に立つ事や、その事務所の経営を安定させたり、大きくすると言う強い意思がない士業は、結局士業が集まった所で衰退してしまう事でしょう。意識が低い者同士が集まってワンストップサービスを行ったとしても、元々意識が低いわけですから、依頼者にとって満足するサービスを提供する事は難しくなりますし、そもそもが、依頼者の為ではなく、自分たち士業の為の連携になってしまう所も問題点です。

士業は士業の資格だけ持っていると言う事実ではやっていけない時代です。依頼者の依頼内容を遂行する上で、依頼者にとって満足して頂けるサービスで無ければ士業業界ではやっていけないのです。まずは、ワンストップサービスをするにしても、それぞれが意識の高い目標や、依頼者の目線で考える事が出来なければワンストップサービスを行う意味がないと言っても過言ではないのです。

3.ワンストップサービスの形

基本的に、ワンストップサービスは、ワンストップなわけですから、一箇所にお願いする事によって様々な案件をクリアできる事が必須です。ワンストップサービスを行うに当たって必要となるのは、お客様から寄せられる案件を1つの窓口によって解消する事であり、そこには様々な士業が関係してきます。これらのワンストップサービスの形にはどのような形態があるのでしょうか?

3-1.総合事務所と言う形

1つの事務所に、様々な士業資格を持った者が常駐していて、お願いする内容によって、それぞれの士業が業務をこなすと言う形です。お客様にとっては、一箇所に出向くだけで事足りますから、便利なものと言えるでしょう。また、同じ事務所内において、各自で相談したり、状況を把握する事が可能となりますし、同じ士業資格を持っていても、得意分野が違う場合がありますから、様々な依頼に答える事が可能だと言う事になります。

また、1つの事務所の中で1つの依頼に対して把握するスピードも早くなると言える為、誰がどの業務をこなすか等を瞬時に決定する事が出来るのも利点だと言えます。また、総合事務所でも、各地のあらゆる場所に解説している場合もある為、依頼数が増えると言う場合もあり、ここも事務所側やお客様にとっても利点だと表現する事ができるのではないでしょうか。

3-2.士業同士で連携する形

士業としての事務所は個人個人で別だとしても、連携をすると言う形でワンストップサービスを行う事も可能です。ただし、ここで注意が必要な事は、2-1でも申しあげている通り、ワンストップサービスと謳うからには、窓口は1つで済むと言う状況を作る必要があります。

ただ、単純に連携している士業事務所を教えるだけでは、紹介しているだけと言う事になってしまいます。依頼を受けた士業事務所は、各自他の士業が必要な場合、事前に依頼内容を必要な士業へ情報を伝え、依頼者と面談する必要がある場合には、お客様に手間を取らせないよう、他の士業側が、最初に依頼のかかった士業事務所に足を運ぶ事が大切です。

また、事前に電話等において、お客様の依頼内容がある程度把握できている場合においては、初回に訪問される時や、面会する場合に、その場所に他の連携している士業を一緒に呼び寄せる事も、依頼者にとって手間を取らせないと言う方法となります。連携する形で、ワンストップサービスと言うのであれば、お客様が一度の手間で事が足りるように配慮する必要があると言う事なのです。更に、グループとして、連携する形も出てきています。

例えば、税理士法人、社会保険労務士法人、弁護士事務所、行政書士事務所、社団法人、そして株式会社等。それらがグループを作る事によって、ワンストップサービスを展開しているものも出てきていますから、これからワンストップサービスとして様々な形が出てくるのではないか?と言う事もできるでしょう。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。士業としてのワンストップサービスにおける、様々な視点から解説を行ってきました。連携する形や、1つの事務所で行う形もあり、ワンストップサービスとしては様々なサービス形態が増えてくる時代だと言えます。

しかし、1番大切な事は、ワンストップサービスを行う事で、士業側が得をするのではなく、あくまでもお客様側が得をする形でサービスを行う事が大切だと言う事です。士業側が、集客を見込めるからと言う理由や、紹介して貰いやすいからと言う理由でワンストップサービスを始めたとしても、そこにお客様が本当に満足するサービスを提供する事はできません。ワンストップサービスで成功するには、まずお客様にとってより良いサービスである必要があると言う事です。

その事が、結果的に集客にも繋がりますし、満足して頂ける結果に結びつける事ができます。サービスと言う名前がついているのですから、サービス業だと言う認識を持って、お客様が笑顔になれるようなサービスを提供できるようにしていけると良いですね。

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