2017/10/27

士業こそ、いち早く法人化すべき?~法人化のメリット・デメリット~

士業こそ、いち早く法人化すべき?~法人化のメリット・デメリット~

あなたは士業の法人化と聞いて具体的にどのような事かを想像することはできるでしょうか?一昔前までは、士業と言う業種は、個人事業主と言う印象が強かったのに対し、制度の改正によって、士業も法人化ができるようになってから、一般企業のような支店を設けられる事になりました。

例えば、あなたが東京で行政書士事務所を開いているとしましょう。この時点では、行政書士資格を持っているのがあなただけで、個人事業主となっています。

しかし、東京だけではなく、大阪や札幌など、他の都市にも事務所を作って事業をどんどん拡大させたいと考えた時、法人化する事によって、別の場所にも事務所を構える事が可能となるわけです。一般的な士業法人の形は上記のような形が基本的なものになります。このように、士業事務所を法人化することにより、一般企業である株式会社と同じく、本社があって、違う場所に支店がある・・と言った一般人に馴染みやすい組織形態を作り出す事が可能となるわけです。

ただし、株式会社と全く同じか?と聞かれると、それは一緒ではありません。士業と言う独特な形態での法人と言う表現が正しいです。

それは、株式会社の場合、支店を設けるにしても、そこに士業のような有資格者を常駐させる必要はありませんよね?一方、士業の場合の法人化は、本来の事務所にいる士業とは別に、同じ士業の資格を持った別の人間を新しい事務所に常駐させる必要がある為、株式会社とは少し違いがあります。また、勿論の事ながら、法人化するにも、その理由は様々でしょうし、法人化したくても出来ない事情を抱えている方もいらっしゃると思いますので、それぞれで見ながら、法人化すべき点について解説していきましょう!

1.具体的に法人化する事によるメリットとは?

まず、株式会社等によくある資本金についてですが、士業として法人登記を行う場合においては、資本金の定めはない事がメリットの1つとなります。ただ資本金とは違いますがNPO法人と同じように出資金という項目は存在していますので、出資金を資本金のようなものと考えてもいいでしょう。出資金の金額は決められていませんので、法人化の時点の資金状況でいくらを出資金にするかを判断していただければと思います。ただし、登記を行う必要がありますから、株式会社等と同様に、登記にかかる費用と言うものはかかってきますので注意して下さい。

法人化するメリットの中で、最も大きいと思われる事は、士業としての事業の拡大ができる事が上げられます。人は、1人でやる事にも限度と言うものがありますが、法人化して他の士業を雇う事により、業務としての幅が広がる事になります。例えば、士業として行う事ができる業務と言うのは、大げさに言うと10000種類を超えるとも言われており、その全ての業務を1人でこなすのは、どのように優秀な人でもはっきり言って不可能と言えます。その中で、あなたが士業としてやっている業務の分野以外で、得意な分野を持っている士業を雇った結果、士業事務所として出来る業務の幅は必然的に増える事になります。

また、支店として構える事務所はどこでも良いわけですから、例えば取引する場所が最初の事務所がある地域より、もっと遠い場所がある場合等は、その地域に事務所を構える事によって、お客様は増えるでしょうし、その場所に伺う為の交通費等の経費や、時間等も大幅に削減できるでしょう。また、士業として行う業務の内、その得意分野は武器にもなります。その武器が1つよりも、2つ、3つと、士業の数を増やすごとに増えるのであれば、収益にも繋がりますし、法人としても強化する事が可能だと表現する事ができるでしょう。

更に、法人化する場合のメリットとして他に上げられるのが、個人事業主としての事務所で成功したノウハウを新しく構える支店の事務所にも同じように展開できると言う点もあります。つまり、このように、営業する範囲を、従来の武器を使って増やす事が可能になると言う事も利点の1つでしょう。

更に、個人事業主の場合ですと、その事務所を経営している方が亡くなられたり、引退する等によって事業を続けられなくなった場合、必然的にその事務所はなくなってしまいます。そこで使えるのが法人化です。

そこで長年勤めている従業員にとっても、経営者の都合によって勤務先が無くなってしなうのは不安定ですから、法人化している場合には、一般企業と同じように、その事務所は継続して残る事になります。これは、どちらかと言うと、従業員の目線でのメリットとなってしまいますが、その事務所を始められた創業者にとっても、ご自身が引退した後も、その事務所が存続していると言う事は、その功績を残す意味でもメリットだと言う事が言えるのではないでしょうか。

また、このように永続的に事務所の運営を行う事ができると言う事は、従業員だけではなく、取引を行う企業側にとってもメリットがありますし、そのメリットから、大手企業等と契約や取引を行う事が出来たり、継続的な依頼を受けやすいと言うメリットもあります。更に、法人化する場合のメリットとして他に上げられる事があります。それは、個人事業主の場合、従業員を雇っていたとしても、社会保険に関しては任意適用となる為、従業員の半数以上の同意によって、初めて従業員に社会保険加入をさせる事ができるわけですが、そもそもの士業事務所を経営している方は、従業員を加入させられたとしても、本人は加入できないと言うデメリットがあります。

しかし、法人化する事によって、創業者(経営者)本人も加入する事ができる為、こちらも大きなメリットだと言えるのではないでしょうか。更に、士業としての法人化は、まだまだ進んでいないのが現状です。これは法人化できるようになるまでの、以前の制度と言う背景がありますが、まだ士業として法人化している士業事務所は全体的にも少ないのです。ですから、今、士業事務所として法人化する事が可能なのであれば、他に士業の法人が少ない分、永続的な事業を行えると言う観点からすれば、大きな企業とのやり取りがしやすいと考えられますし、取引先をゲットするチャンスだと言う事もできます。

士業の個人事業主とは違い、法人であれば、取引を行う側も、その事務所は永続的にあるのだとすれば、いつ無くなるかわからないと言う不安があるよりは、優位だと言う事が可能です。一般企業を相手にする場合は、その会社は経営をずっと行っていき、存続する事を求めますから、取引をする相手も存続していれば安心感を持たれるのではないでしょうか。

例えば、行政書士で言うと、平成25年度当初の日本行政書士会連合会の資料によると、法人として活動している行政書士法人は全体の0.5%と言うデータがあります。この数字からしてもわかるように、まだ法人としては競合する相手が少ない分、今の段階で法人化して、着実に顧客をゲットすると言う作戦を取る事も良いのではないかと考えます。

また、税金面においても、一般企業と同様に、法人化した方が、メリットがあると言える場合があります。それは、収益が一定以上高くなった場合です。個人事業主の場合は、個人事業主としての税金を納めなければなりません。この場合、年間の利益が低い場合においては、個人事業主の方が税金面で安く済みますが、一定の金額を超える場合は、法人化し、法人税を適用させる事によって節税をする事が可能となります。法人の場合の税率は、800万円以下の場合には15%、800万円以上の場合は23%と言う税率がかかります。
一方、個人事業主の場合は、法人と違い、もっと細かく税率が設定されています。

例えば、法人で年間の所得が695万円より下回る場合、は上記で上げているように800万円以下に該当しますから、税率は15%です。しかし、個人の場合、695万円~900万円の場合、税率は23%かけられる事になるのです。この税率は大きな違いだと言えます。ですから、個人事業主であっても、一定の収益が上がる場合は、法人化する方が節税対策になると言う事ができるわけです。

更に、個人事業主の場合は、売上の金額から経費を差し引いた金額が課税対象となりますが、法人となると組織になりますから、役員報酬と言う形で経費にする事が可能となります。これは一般企業同様に、社員の給料は経費として落とせるのと同じ事のように、経営している側の報酬についても経費で勘定する事ができるわけですね。

また、融資の面でもメリットがあると言えます。法人化すると言う事は、規模としても大きくなりますから、融資を受ける際には金融機関等からの信頼度が高いと言うメリットがあります。法人化すると言う事は、将来的にも規模を更に拡大する可能性もありますから、そのような事も想像しながら考えてみても良いでしょう。

2.士業が法人化するデメリットって?

では次に、士業が法人化する際のデメリットについて解説しておきます。まず、1番考えておかなければならないのが、毎月かかる経費(固定費)についてです。法人化すると言う事は、他にも事務所を構えるわけですし、そこに士業の資格を持っている者を常駐させる必要があり、給料も毎月支払わなければなりません。賃料や、一定期間の給料分を考えた上、その他に新しい事務所を開設する時の諸経費もかかる為、法人化するだけで相当な金額がかかると想定しておく必要があります。

更に、新しい事務所には、他の士業の従業員が必要ですから、その士業の登録をする為の費用もかかります。それと合わせて、これまでは個人事業主として1人分で足りていた会費等が、士業の人数分増えると言うのが、一般企業等の株式会社にはない士業ならではの法人化に対するデメリットです。

また、法人にする事で、法人であると言う登録も必要となりますから、それだけを考えても相当な費用を用意する必要があると言う事なのです。これだけの費用をかけてでも、法人化した方が、収益が必ず上がる!と言う根拠があるのであれば、法人化する方が良いでしょう。

しかし、これだけの投資をした結果、法人化してもうまく行かず、経費ばかりがかさんでしまい、最悪の場合、最初に設立した士業事務所まで廃業に追い込まれたなんて事になっては大変な事態となってしまいます。法人にするにしても、これだけのデメリットをメリットで補える戦略をねらなければならないと言う事なのです。

また、その他のデメリットとしては、他の士業を雇用しますし、法人は社会保険に加入しなければなりませんから、その分法人として存在しているだけで経費が余計にかかります。また、個人事業主であった場合に比べ、法人になった場合には、税理士と顧問契約をする際も、顧問料が膨れ上がる可能性があります。また、それまでは個人事業主として経営をしていたわけですから、業務を行う上でも、どのようにするのかについては、ご自身で決めれば良い事です。

しかし、いくら雇っているからと言って、意見を無視するわけにはいきませんから、業務のスピードや意思の決定には時間が費やされてしまうと言う事も上げられます。また、同じ分野の業務をこなすのであれば、そこまで問題はないでしょうが、分野が違う場合、依頼者から受ける報酬や、その業務にかかる期間等にも違いが出てくる為、給料の面で不満が出た場合にトラブルになる可能性が考えられます。

また、法人化する場合、とりあえず一名雇って法人化しようとした場合、雇った士業が突然辞めてしまうような事態となれば、大変です。実は、士業が法人化した際に、2名で開始したとして、1人が辞めてしまうと、半年以内に元の2名以上に戻さなければ設立された法人は自動的に解散扱いとなってしまうのです。ですから、その分、雇う段階からリスクを抱えるとも言えるでしょう。その人が絶対に辞めないと言うわけではありませんし、辞めたとして、半年間の期限があったとしても、必ずしも新しい士業を雇う事ができると言うわけではありません。

個人事業主の時は、自分一人が居れば良かったわけですが、法人となれば、必ず他の人間である士業が必要となります。その相手は、はっきり言って他人なわけですから、求人の段階からも気を配らなければなりませんし、選ぶ際にも、こちらの意識を十分に理解して貰う必要があると言えるのではないでしょうか。

また、税金面でもメリット同様、デメリットも存在します。法人には、個人事業主の時には無かった法人特有の税金が別途課せられるからです。収益が上がればそこまで問題はありませんが、一定の所得を上げなければ、結果的に個人事業主の方が最終的な収入があったと言う結果にもなりかねません。

3.まとめ

今回は、士業が今こそ法人化すべきなのかどうかについて、メリット、デメリットに分けて解説をさせて頂きました。総合的に見れば、うまく収益が上がるのであれば、当然の事ながら法人化すべきです。更に、上記でもご紹介の通り、士業業界では、法人化されている士業事務所は、まだまだ少ない傾向にあります。ですから、競争相手が少ない段階から手を打つと言う事は、企業を成長させる上では重要な事だとも言えます。それは、士業と言う資格が登場した時は、その士業が少なかったのに、時代の流れによって士業の資格を持って活動する者が必然的に増えていくのと同じ事なのです。

また、士業として法人化すると言う事は、そこにデメリットと言うリスクも考えておく必要があると言う事になります。大きな夢を持つ事は大切ですが、法人化した結果、廃業に追い込まれたと言う事態になっては意味がありませんし、借金だって残ってしまう可能性も考えられます。大切な事は、法人化する意味と、それに対するメリット、デメリットをしっかりと把握した上で、法人化するタイミングもしっかり図るべきだと言う事です。

当たり前の事ではありますが、上手くいくかわからない段階で、闇雲に法人化するのは大変危険です。それは一般企業にも言える事ですが、士業には法人化する際に、一般企業にはない士業特有の法人化にかかる登録料や、会費等が別途必要だと言う事を忘れてはいけないと言う事です。

ただし、現段階で、確実に法人化する方が良いと判断される場合は、思い切って法人化する方が成長できる可能性は大幅に高まりますし、経費としても抑えられる所が増えますから、どちらにしても、現状の正確な把握と、法人化した時の具体的な戦略が必要になると考えられます。

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