2017/10/25

雇用される側から見る!~士業の方々も人を雇用したら社会保険を~

雇用される側から見る!~士業の方々も人を雇用したら社会保険を~

一般の企業に勤務された経験がある方や、アルバイトやパート経験をされた事がある方等は、勤務先で社会保険に加入していたと言う方も多いと思います。それは例え、士業事務所であったとしても、人を雇用した場合は社会保険と言う事を考えておかなくてはなりません。それぞれ、どのような場合に社会保険を考えておかなければならないのかを具体的に見ていきましょう!

1.士業の法人と個人事業主は一般企業と違いがある?

士業としての法人と言うのは、一般的なイメージで言うと、基本的には一般企業の株式会社や合同会社と同じようなものなのですが、少し違いがありますので、そちらからご紹介しておきます。例えば、個人として士業事務所を1人で経営されている場合は、個人事業主の士業事務所となります。

一方、法人化と言って、その事務所を法人にする場合には士業の法人事務所と言う事になります。この法人化をする場合には、一般的な株式会社や合同会社とは少し違いがあり、例えば1つの事務所で個人事業主が経営をしている場合、その事務所とは別に支店と言う形で別の場所に事務所を作る場合、その事務所においても士業資格を持っている方を登録し常駐させる必要があります。その場合、その方の登録を含め、法人化する場合の法人としての登録も行う必要があります。

個人事業主は、一般的な、個人で経営している個人経営者と同じようなものですが、法人にする場合には、このような士業特有の法人と言う背景が出てきます。

また、1つの事務所で法人化する事も可能ですが、その場合は同じ事務所であっても代表者以外に別途で士業の資格を持っている者を雇う必要がある等、士業の法人と言うのは、このような特有の背景がある事を覚えておきましょう。

一方、株式会社の場合は1人でも立ち上げる事が可能ですから、このような違いがあると言う事がお分かり頂けるのではないかと思います。ただし、株式会社であろうが、士業法人、士業の個人事業主であろうが、お金を儲ける営利集団である事には違いがありませんから、一定の税金や、従業員の社会保険等も考えなければならないと言う事になりますので、次は、社会保険の事に関して、それぞれで詳しく見ていきましょう。

2.そもそも社会保険って?

勤務された経験がある方で、社会保険に加入していたと言う方も結構いらっしゃると思います。そもそも、この社会保険ってどのようなものかご存知でしょうか?通常、個人事業主等に適応されるものとして国民年金と、国民健康保険があることはご存じかと思います。これは、個人が国に納めているものですよね。

例えば、風邪をひいたり、病気になった時に病院の受付に提示するものが健康保険証。年金は、65歳を超えた時(現在の制度)に、納めた年金に応じて国から支給される現金です。これらの年金と保険を、大きくしたものが社会保険だとイメージして頂ければ良いと思います。国民年金と国民健康保険を個人が支払っているのに対し、社会保険の場合は、納める金額の半分を勤めている会社が負担する事になります。

また、国民年金は個人で納めるものである一方、社会保険における年金の名称は厚生年金保険となります。外国(代表的な国としてアメリカがあります)においては、このような国の制度がない場合もあり、民間の保険に一人一人加入していると言うケースもありますが、日本においてはこのような制度(国民皆保険制度、国民皆年金制度)を設ける事によって、国民の健康や老後が一定の範囲で守られています。

また、収入に合わせて納める金額も変化しますから、収入が高ければ高い程、納める金額も高くなり、低ければ低い程、納める金額は安くなる仕組みとなっています。社会保険の場合、給料明細では中々わかりづらいのですが、社会保険料の納めている金額の半分は会社が負担していますから、その分、雇われている従業員にとってはメリットとなります。

また、国民年金と社会保険として納めている厚生年金では、将来貰える額にも違いがあり、社会保険として納めていた厚生年金の方が貰える金額が高くなります。高くなる上に、会社側が半分負担しているわけですから、経営している側にとっては少し負担となってしまいますが、逆に雇われている側にとってはありがたい事でもあります。

3.社会保険加入の基準について

3-1.個人事業主の場合

基本的に、個人事業主が従業員を雇う場合、常時5名以上の従業員が勤務しているのであれば社会保険に加入しなければならないと言う義務が発生します。

しかし、従業員の数が5名以上であっても、任意適用となる業種が決められています。それは、士業、サービス業、第一次産業、宗教業等です。

つまり、常時5名以上の従業員がいる場合には、社会保険へ加入しなければなりませんが、士業は例外の任意適用に含まれていますから、士業の個人事業主の場合、任意適用事務所となりますから、5名以上居たとしても社会保険に加入しなければならないと言う義務から除外される事になります。

ただし、個人事業主でも、雇っている従業員の福利厚生を向上させる為を目的として社会保険に加入させたいと言う場合があると思われます。この場合、一定の条件を満たせば、加入できるとされているのです。

その条件とは一体どんな物なのでしょうか?
(※ちなみに上記に出てくる人数や、数字の中には事業主本人は含まれていませんので、間違えないように注意してください。)

①その対象となる事務所で雇用されている従業員の2分の1以上の同意が必要。

つまり、半分以上の従業員が同意すれば加入できると言うシステムですね。ただし、この同意を取る事ができる従業員と言うのは、社会保険に加入できる程度の一定の勤務時間がある方です。一般的には、週に30時間以上勤務されている方等の事を言います。

②その事務所の経営自体が安定している事。

およそ、3か月くらいの一定期間、事務所の経営が継続している事が要件です。ですから、開業した時にいきなり加入できると言うわけではありません。

以上が加入の条件となっています。

また、上記の要件をクリアして社会保険に加入したとしても、代表である個人事業主自身については、社会保険に加入できませんし、家族従業員も同じです。ご自身や家族従業員も含めて、事務所のメンバー全員が社会保険に加入したい場合には、法人化する事をオススメします。

3-2.法人の場合

士業事務所を法人化する場合には、厚生年金、健康保険に加入する事になります。個人では任意適用でしたが、法人化すると言う事は、一般的には個人よりも組織としても大きくなると認識されます。一般の企業同様に加入する事が可能となります。

4.社会保険加入に必要な物

4-1.強制適用での加入

まずは強制適用での加入の場合に必要となる物からご紹介します。
①新規適用届
②資格取得届
③被扶養者届
④保険料預金口座振替依頼書
⑤事業主の住民票
⑥賃貸借契約書のコピー
これらの書類の提出を求められる事になります。

4-2.任意適用での加入

まずは、3で解説のあった、任意適用の場合、任意で加入しようとする際に必要となる物についてご紹介します。ただし、以下の提出書類に合わせて、4-1で解説のあった書類も同時に求められる為、任意適用の場合は4-1と4-2合わせて必要となると言う事になります。

【任意加入の同意書】
任意で適用を受ける場合、同意が必要だと上記で申しあげましたが、この同意を受けていると言う証明をする為に、「任意包括適用申請書 及び 加入同意書」と言う物が必要です。

【事業主の公租公課の領収書】
こちらも、上記で解説があったように、事業をしっかり経営できているかと言う事が必要になりますから、事業主がちゃんと保険料や税金等を国に納めているのか?と言う確認が必要となります。必要書類としましては、過去一年分の領収書が必要とされており、所得税・事業税・住民税・国民年金、国民健康保険の領収書等が必要です。この場合、もし開業してから1年経過していない場合は、所得税と事業税の領収書がない場合がある為、この時は管轄している年金事務所にご相談下さい。

【その他に必要な物】
事業を継続的に行っていると言う証明や、加入の対象となる従業員の雇用証明を行う為、次のような書類も求められています。
①労働者の名簿
②賃金の台帳
③出勤簿やタイムカード
④就業規則や給与規定
⑤総勘定元帳
⑥雇用契約書
⑦公共料金や家賃の領収書
⑧確定申告書の控や決算書
等が上げられます。

ただし、これら全てを必ずしも求められると言うわけではなく、事業が継続的に稼働しており、従業員が勤務していますよと言う事を確認できれば良いとされていますから、詳しくはどのような物が必要であるかを事前に問い合わせされる事をオススメします。また、注意点としましては、事業をされている本人が国民年金の保険料をしっかり納付していなければ加入の許可が下りませんから、しっかりと支払う必要があると言う事になります。

5.加入に反対した人も加入するの?

個人事業主で、従業員の社会保険加入をする場合には、任意適用となっていますから、従業員の半数以上が同意した場合には加入する事が可能となるわけですが、ここで問題となってくるのが、加入に反対した従業員は一体どうなるのか?と言う事になります。確かに、手当としては手厚くはなるわけですが、全ての方が社会保険に加入する事を望むわけではないと言う事も考えられます。

しかしながら、半数以上が同意して加入する場合においては、反対して同意をしなかった従業員も社会保険に加入しなければなりません。それは、社会保険の適用事務所として認められた以上は、従業員全員に加入の義務が発生するからなのです。反対される場合は、収入にもよりますが、一般的に国民年金や国民健康保険料の方が安めなのに対し、社会保険料として支払う場合は、会社側が半分負担しているとしても、従業員本人の給料から天引きされる金額が高くなると言うリスクが生じる可能性があるからです。

しかし、社会保険と言うのは、事業所単位での加入が義務付けられている為、例え反対したとしても、その人も含めて全員が加入せざるを得なくなるのが現状です。

わかりやすく解説しておくと、個人事業主の場合で従業員に社会保険の加入をさせる場合、このように違いが出ます。
個人事業主=所得に応じた国民健康保険料・一律の国民年金保険料の納付
従業員=所得に応じた被用者保険料・所得に応じた厚生年金保険料の納付
以上の金額を納付する必要があります。

ちなみに、任意適用ですから、加入しないと言う選択肢もあります。その場合の従業員は、上記で上げている個人事業主と同じ形態で納付する形となります。

6.従業員から見る社会保険の加入とは?

数年前に社会的にも話題となって消えた年金問題や、受給できる年齢が60歳から65歳になる等、年金を含めた社会保険制度の問題には国民の皆さんが感心を持たれる時代となっています。将来年金を貰えるかどうかわからないと言う理由から、国民健康保険料は支払っていても、国民年金については納付しないと言う方もよくテレビやインターネット等で取り上げられていますよね。そんな不安定な中では、従業員にとって、社会保険は半分の金額を会社が負担してくれる物であり、将来貰える年金も大きくなる為、ご自身で支払う方よりも安心度が高いと言う事が上げられます。

また、勤務先を探している方にとってはどうでしょうか?年金に関しては、社会保険の厚生年金の場合、一定期間は支払わなければ貰える年齢になっても貰うことができないと言うルールがあります。これも近年ニュース等で話題となりましたが、加入は原則として25年以上の期間が必要とされてましたが、平成29年8月1日からは、10年に短縮される事になりました。転職される方にとって、最低でも10年はと考えている方にとっては、前勤務先で厚生年金に加入しており、もう少しで10年だと言う方であれば、当然の事ながら社会保険の加入を望まれると思います。

確かに、60歳から65歳になったりと、本当にこのまま支払っていて、将来貰えるのだろうか?と不安に思われる方も多いと思うのですが、一般的に日本の会社等は社会保険に入っているのが当然のような社会です。士業事務所であっても、任意適用事業所ということから、たとえ業界の中では例外だとしても、社会保険に加入できると言う点では、従業員にとっては何かあった場合や将来の安心感は高まります。以前は、士業と言えば、個人事業主と言う印象が強かったですが、今は士業も法人化できる時代ですし、何も法人化しなくても従業員は一定の同意さえあれば社会保険に加入する事ができますし、これは従業員の権利だと表現する事もできます。

はっきり言って、将来貰える年金でも、年金の制度は常に変化すると言う背景から考えると、国民年金では正直将来の不安は全く解消されないと言うのが現実です。(ちなみに国民年金でもらえる金額は生活保護でもらえる金額よりも圧倒的に低いのが現実です。)人は、年をとるごとに、体も老化していきますし、いくら今健康で元気な方であっても、年金を貰う年齢になった時にしっかりとした貯蓄ができているか?健康で現役で仕事をバリバリこなせているか?と言う事は不透明です。

ですから、なるべく手厚い保証を受ける為にも、従業員からの目線で考えれば、雇用をしている側である士業事務所が、社会保険に加入させると言う事も大切な事なのです。社会保険に加入させる事によって、従業員を守ると言う表現をする事もできますね。

また、社会保険に加入できるのか!と思うだけで、求人をした際にも人が集まりやすいと言うメリットもある事でしょう。勿論の事ながら、ご本人が加入したいと考える場合であっても、法人化すれば加入する事はできますから、そちらも合わせて検討してみるのも良いのではないでしょうか。

7.まとめ

いかがでしたでしょうか。昔ながらの考えであれば、士業事務所は個人の印象が強く、個人事業主である本人も国民年金と国民健康保険に加入しているから、従業員も一緒だと言う印象では、少し時代遅れとなってしまいます。従業員は、その事務所の経営をする上で必要な存在ですから、福利厚生の面からも従業員の事を考えなくてはならない時代なのだと言う事になるでしょう。

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