2017/10/23

ぶっちゃけ個人事業主と法人ってどっちがいいの?~士業の独立編~

ぶっちゃけ個人事業主と法人ってどっちがいいの?~士業の独立編~

士業の資格を有してから、一度どこかの事務所等で勤務をした上で独立開業される方と、いきなり開業される方に分かれると思います。また、士業として独立開業する場合、いきなり士業法人を設立して開業する方もいれば、個人事業主として開業される方もいらっしゃいますし、個人で開業した後、一定期間を経てから法人化される方等、様々いらっしゃいます。

今回は、この士業が個人事業主としてやっていくべきなのか、法人として開業、もしくは法人化すべきなのかについて、お話をさせて頂きたいと思います。

1.個人と法人の違いって何?

個人事業主と言うのは、皆さんもご想像がつくと思われますが、個人として事業活動をする方の事です。個人事業主には「株式会社」や「合同会社」等はつかず、屋号と言うお店の名前のような物が名称としてついています。また、個人事業主は、一般的には社長とは呼ばれず、そのお店等の代表者を意味します。

では、法人とは何なのでしょうか?法人は、個人事業主にはつかない、上記でも上げている「株式会社」や「合同会社」等が会社の名称についているのが大きな違いです。そして法人を管轄しているのは法務局となっており、税金面でも所得税と法人税に分けられますから、節税対策を行う事も可能です。

また、個人事業主とは違い、会社設立の際には、登記をしなければならないと言う所も違いの1つとなります。イメージでは、小規模で個人で事務所経営をしている士業事務所と、会社として経営している士業事務所に分かれると想像して頂ければ良いと思われます。

2.開業時の手間や費用の差について

まずは、個人、法人で開業する場合にかかる費用面や、手間等について見ておきましょう。

2-1.個人事業主

個人事業主として開業する場合、基本的に申請に関する費用はゼロで開業する事が可能です。開業に必要となる事は、個人事業の開業と、廃業等届出書の提出、そして青色申告承認申請書を合わせて提出すれば完了となりますから、法人に比べれば、手間も費用もかけずに開業する事が可能です。

2-2.法人の開業

一方、法人の開業は、ちょっと話が違ってきます。上記の解説でも述べていますが、法人として組織を立ち上げるには、登記を行わなければなりません。法人とは、一般的には株式会社や合同会社等を言いますが、この株式会社と合同会社でも少し違いがあるのでご紹介しておきましょう。

ちなみに士業法人については現在は弁護士、司法書士、行政書士、税理士など同じ士業が集まってできる弁護士法人、司法書士法人、行政書士法人、税理士法人などは認められていますが、弁護士、司法書士、行政書士、税理士などを集合体として1つの専門家法人というものは現在は認められてはいません。ただ、利用者の利便性を考えるといずれは認められていくのではないかと考えられます。

2-2-1.株式会社の場合

株式会社は、株式を発行する事で、運営に対する資金を得る事ができます。基本的な流れについては、設立項目を決定した上で定款の作成をします。そして認証を受けた後、登記に関する書類を作成し、登記を行うと言う流れになります。

【費用】
登録免許税:15万円
定款謄本手数料:2000円程
収入印紙:4万円
定款認証:5万円

これらを合わせると、計25万円程度の費用が必要となります。ただし、収入印紙にかかる費用については、電子定款ができる専門家に依頼した場合は無料となります。基本的には、依頼料と比べても、電子定款にする方が、費用が抑えられます。

2-2-2.合同会社の場合

合同会社も、株式会社同様、営利目的、つまりお金を設ける事が目的となる会社です。

しかし、違いとしては、株式会社のように株式と言うものを発行しません。合同会社を設立する時に出資をする社員と言う形でそれぞれの出資者が出資金を払い込む形となります。基本的な流れとしては、定款に記載する内容を決定した後、定款作成を行って出資金を払い込みます。その後に登記を行い、合同会社となります。株式会社が定款認証をする必要がある一方、合同会社の場合は認証を行う必要はありません。

つまり、公証人役場にて認証を受ける必要がないので、費用面や手間と言った観点からすれば、株式会社よりかは楽に起業する事ができます。ただし、社会においては、合同会社よりも株式会社の方が信用と言う観点では高いとされていますが、どちらにしても士業と言う業種になる為、はっきり言ってそこまで影響を受けるとも言えないでしょう。

【費用】
登録免許税:6万円
定款謄本手数料:2000円程
収入印紙:4万円
収入印紙につきましては、株式会社同様に電子定款にすれば無料となります。このように、個人事業として開業するか、法人として開業するかについては、開業する段階から少し差がある事を知っておいて頂くと良いと思われます。

3.税金面では、どう違う?

ここででは、開業に関して解説を行ってきましたが、では実際に開業した後の税金面ではどのような違いがあるのでしょうか?個人として経営しても、法人として経営しても、同じように収益が発生しますから、どちらも税金を支払わなければなりません。この税金面に関しても、それぞれで見ておきましょう。

3-1.個人の税金面

基本的に、個人事業主が支払わなければならない税金は、所得税、住民税、消費税、個人事業税の4つに分かれます。

まずは、所得税についてですが、1月1日~12月31日までに売り上げた儲けに対して課せられる税金の事を意味します。この儲けの合計の事を「総収入金額」と言い、この金額から必要とした経費や、配偶者、扶養等の控除を引いて計算しますが、個人の場合、経費として認められる幅が法人に比べると少し狭くなるのがデメリットです。また、儲けが出る程に税率が上がってしまう為、この辺りも個人事業主のデメリットと表現する事ができます。

次に住民税ですが、これは皆さんもご存知の方も多いですよね。住んでいる住所がある都道府県、市町村へ納税する税金です。

そして、次に消費税ですが、こちらも皆さんご存知の通り、買い物をされる際に必ずかかる税金です。この消費税についても、依頼主から受け取った金額から、消費税分を差し引いて納税しなければなりません。つまり、買い物をする時と同様に、依頼があって報酬を受け取った場合にも、その報酬には消費税がかけられると言う事になります。ただし、この消費税については、開業後2年間は支払う必要がありませんし、売上金額が1000万円以下の場合も支払う必要はありませんので、大規模にならない限りは、あまり気にしなくて良いと思われます。

そして最後に個人事業税と言うものがかかってきます。これは地方税となっており、業種によって税率には差が出ます。弁護士や行政書士、司法書士、社会保険労務士、税理士等の士業については、第3種事業の30業種に該当しますので、税率は5%となっています。

3-2.法人の税金面

では、法人ではどうなっているのでしょうか?まず、法人税、法人事業税、法人住民税、地方法人特別税、消費税、固定資産税と言うものが基本的にかかってきます。ここで言う法人税とは、個人で言う所得税に該当します。所得税よりも、法人税の方が、税率が少し抑えられると言うのが特徴となります。例えば、個人の場合、195万円以下の場合税率は5%となっており、順番に10%、20%、23%と上がっていくシステムです。

しかし、法人の場合、800万円以下であれば税率は15%となっており、800万円以上の場合は23%となっています。どういう事かと言うと、例えば、課税される所得金額が330万円~695万円の場合、個人であれば20%の税率がかけられるわけですが、法人の場合、同じ所得金額であれば、800万円以下に該当しますから、税率は15%となるわけです。

また、際どい所でも見ておきましょう。例えば、個人の所得金額が695万円~900万円の場合、税率は23%かかるのに対し、800万円以下であれば15%、800万円以上であれば23%となるわけですから、個人として経営している場合の所得金額が800万円以下であり、695万円以上の間となっているのであれば、法人にしておく方が、税金が15%で済むと言う計算になります。

つまり、この事からわかるように、低所得の場合は個人として登録しておくと良いのですが、売上が上がれば、一定の段階から法人の方が納める税金が下がると言う事になるのです。次に、法人住民税ですが、これも個人と同じように、会社が登記されている場所の都道府県、市町村に納める税金の事を言います。

そして次に、法人事業税ですが、これは登記されている都道府県に対し、事業をしていると言う事に対して課税されるものとなります。その他に、消費税も個人と同じようにかかり、地方法人特別税と言って、法人事業税の一部を分ける形として、地域の間の税金の格差を埋める為に作られた税金となっています。また、固定資産税と言って、会社で所有している土地や建物等の不動産に対する課税金となります。

このように、個人では4種類ある税金に対し、法人では6種類の税金がかけられる事がわかります。

しかし、売上によっては、大きくなる程法人の方が有利と言う事もできますから、税金面だけで見るのであれば、収益がどのくらい上げられるのかによって、個人として開業すべきなのか、法人にしておくべきなのかと言う選択をする必要があると言う事になるわけです。ただし、最初から顧客を必ずゲット出来ると言う大規模な形で開業される場合であれば、いきなり法人と言う選択肢もありますが、徐々に・・・と考えられているようであれば、まずは個人から開業し、収益が上がってきた段階で法人化すると言う選択もあります。ここまでは、税金面として、個人、法人どちらが良いのかを見てきました。では、その他の視点ではどのような違いがあるのかを見ていきましょう。

4.信頼度としてはどうなのか?

士業の事務所にも、個人と法人があります。例えば、「◯ ◯ 弁護士事務所」等のように、個人の名前がついていて、事務所となっている場合、個人事業主である可能性が高いですね。

まずは、融資の観点から考えてみましょう。一般的に、会社を立ち上げる場合においても、様々な資金が必要となります。例えば、士業事務所として、個人で開業される場合であっても、開業資金として、事務所を構える場所の賃料や、デスク、接客スペース、PC、コピー機、資料を施錠できる棚等が必要となると思われます。つまり、開業登録するのに費用はかからないものの、別途で必要となる物は沢山あります。

開業時に1番リスクと考えるべきは、事務所にかかる賃料です。これは、事務所の運営を軌道に乗せるまでの間も、必ずかかる費用ですし、売上がなくても事務所の賃料は大家さんに支払わなければなりません。その事を考えれば、事前に半年程度の賃料を支払えるように、資金を準備しておくと安心です。

しかし、一般的に自身が住むアパートやマンションの賃料とは異なり、テナント等の事務所として使う場所の家賃は、少々割高となります。家電や、家具等を用意するだけではなく、これらの費用も考えておかなければなりません。その場合、融資を受けると言う選択もあるわけですが、ここで信頼の観点から見ると、やはり法人の方が信頼度は高く、融資を受けやすいと言う傾向にあります。

しかし、近年では法人として開業する場合でも、中々融資を受けられないと言う時代の流れもありますから、一概に法人だから必ず融資を受ける事ができると言うわけではないと言うのも現状です。また、賃料のリスクを避ける為に、自宅開業をする事ができるのであれば、そちらをオススメします。勿論、立地も関係してきますが、士業業界でも近年はインターネットを使った集客を多く使っていますから、業務内容的に場所を選ばなくても良いのであれば、自宅開業を考えてみる事も開業コスト削減には良いでしょう。

では、お客様や、取引先から見る点ではどうなのでしょうか?これははっきり言って、士業の中でも、業務を行う分野に分かれると言って良いでしょう。

例えば、ターゲットにする相手が個人なのであれば、集客と言う点では、個人でもそこまで差は生まれない可能性があります。お客様は、抱えている問題をしっかりと業務を遂行する事によって取り除く事を目的にしているわけですから、集客の方法によって問い合わせがある段階から、信頼ができる印象を与えたり、コミュニケーション能力に長けているのであれば、個人事業主であっても、法人でないから信用できないと言う事にはならないと考えます。また、これは士業と言う業種の強みであるとも言えるのですが、一般企業の場合であれば、個人であるか、法人であるのかについては、大きく影響を受けると言っても間違いではありません。

しかし、士業事務所の場合、士業と言う国家資格を持っていると言う点だけでも、個人からすれば、少し特別な業種であり、専門家でもあります。その観点からすれば、個人だから信頼度が薄くなると言う事にはならないと考えられます。つまり、個人をターゲットとして業務を考えられるのであれば、個人、法人はそこまで問題にはならないと表現する事ができるでしょう。

一方、業務内容にもよりますが、ターゲットとするお客様が法人等の場合はどうなるのでしょうか?士業と言っても、一般企業のように経営していかなければなりません。その観点で言えば、法人を相手にする場合は、個人よりも法人の方が多少信頼度の点では高くなると考えられます。また、法人が抱える問題については、依頼の内容に関しても大きい物が考えられます。

個人ではどうしてもこなす事ができない業務幅となるのであれば、依頼をする側にとっても、必然的に法人に相談したり、依頼をかけると言う事は避けられないでしょう。つまり、どのような方をお客様にし、業務内容はどのくらいのものなのか?から、個人、法人を考える必要があると言う事になります。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。士業が個人として、または法人として、どちらが良いのかと言う事について、税金面から信頼面までで解説を行ってきましたが、大切な事は、ご自身が士業としてどのような幅で仕事をしていきたいのか?と言う事を最初に考える必要があります。規模が大きいのであれば法人向きですし、小規模からと思われるのでしたら、税金面でも個人から開業するのがオススメです。

また、ご自身がされる業務内容によって、取引を行う相手が法人となる場合については、最初から法人を考える必要もあると言う事になります。ただ単純に開業されるのではなく、あなたが士業としてどのような事務所にしていくのかを予め考えた上で対策を取れると良いでしょう。

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