2016/06/01

~胆管がん問題から考える社労士のリスク管理~

~胆管がん問題から考える社労士のリスク管理~

私は平成4年に社労士試験に合格し、平成5年に開業しました。過去、社労士の専門性は、主に「労働問題」と「年金」に分けられていました。しかしながら、世の中が多様化し、社労士に求められる専門性にも多様性が求められるようになってきているように思います。

社労士試験の出題範囲として労働安全衛生法がありますが、出題数も少ないので、正直あまり勉強されていない方も多いと思います。

しかしながら、これからは、顧問先が労働安全衛生法の法違反を犯している場合に、社労士も責任を問われるリスクは多いと考えられるのです。

大阪市内の印刷会社で従業員に胆管がんが発症し死亡者が出た問題を受け、2016年6月1日~、化学物質のリスクアセスメントが義務化されます。業種・規模は特定されていませんので注意が必要です。

胆管がん問題では、従業員の方が多数亡くなり、会社と社長が送検されています。顧問社労士については、関与期間が短かった為、聞き取り調査だけで責任は問われなかったようです。しかしながら、関与期間が長かった場合はどうだったでしょう?

50人以上の事業場には、衛生管理者や産業医の選任が必要なことは、社労士なら誰でも知っている知識だと思います。労働安全衛生法に関することは社労士の業務範囲では無いという意識は、危険だと言えます。

1.胆管がん問題

問題の発端となった会社は、衛生管理者・産業医の選任をしていなかった、労働衛生委員会を開催していなかったとして、労働安全衛生法違反で、会社と社長が書類送検されました。送検されると前科一犯となります。

胆管がんを発症した元従業員16人は、有機溶剤を含む洗浄剤を使い、印刷機械などに付いたインキを落とす作業に従事していました。

厚労省が原因と疑われた化学物質「ジクロロメタン」「1、2ジクロロプロパン」を含む洗浄剤を使って再現実験を実施したところ、ジクロロプロパンの濃度が許容範囲の最高21倍に達し、劣悪な環境だったことが判明しました。

同社従業員の胆管がんによる死亡率は、日本人平均の約1200倍とのこと。


2.書類送検理由

本件の送検理由

労働安全衛生法  衛生管理者・産業医選任義務違反、衛生委員会設置義務違反

(衛生管理者)

第一二条  事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、その者に衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。

(産業医等)

 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(以下「労働者の健康管理等」という。)を行わせなければならない。

(衛生委員会)

 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。

 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。

 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。

 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。

 前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

〔罰則〕

第百二十条  次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

 第十二条第一項、第十三条第一項、第十八条第一項


★法律条文を確認すると、更に厳しい罰則規定に該当する可能性もあります。

民事訴訟となれば、安全配慮義務として弁護士から追求されるでしょう。

(事業者の講ずべき措置等)

 事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 排気、排液又は残さい物による健康障害

第二十三条 事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない。

 事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

〔罰則〕 

第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 第二十条から第二十五条まで


3.社会保険労務士の扱う業務に関連する法律

①社会保険労務士法

(社会保険労務士の職責)

 社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。

・労働基準法及び労働安全衛生法

・労働者災害補償保険法(労働保険徴収法を含む。)

・雇用保険法

・健康保険法

・厚生年金保険法

・国民年金法

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