2016/02/22

ベンチャーに特化&ベンチャーを自ら起業した稀有な弁理士の挑戦

ベンチャーに特化&ベンチャーを自ら起業した稀有な弁理士の挑戦

なぜ弁理士を目指したのですか?

学生のときに関わった文化行政の仕事で、アートや音楽などの知的財産に興味を持ったのがきっかけです。また、学生時代プログラマーとして仕事をしていたこともあり、オープンソースのGPLに関する興味からも、特許や著作権などに興味があり弁理士を考え始めました。

弁理士業界をどのように捉えていますか?渡辺さんが他の弁理士と違うところはどういうところですか?

弁理士業界は、これまでは自動車や電機メーカーなどの大企業の案件が中心であり、特許事務所もこれらの案件を定期的に出願していくことを事業の中心としていました。このような大企業では、プロダクトの研究~事業化までのスパンが長いため、特許の活用部分がどうしても弱くなってしまいます。一方、IoT、ロボット、人工知能などのスタートアップ分野では、技術のライフサイクルが早く、 取得から権利活用までをトータルに踏まえた取り組みをする必要があり、そのためにはスタートアップ分野でのビジネスへの理解が必要になってきます。自分でもスタートアップのサービスを立ち上げている経験からこの点が一番の強みになっていると思います。

旧来からの弁理士さんとは異なり、新しいテーマや業界、スタートアップなどの支援にまわられているということですよね。外部環境がすごく変化してきたということでしょうか?特許の取得という意味では、弁理士の役割は一緒のように思われますが、確実に変わっている部分もあると思います。その点はどのような部分になりますでしょうか?

2000年ごろから、知財立国というテーマは多く語られてきましたが、実態としては「知的財産」による持続的な成長は日本では達成されていないように思います。特許出願の件数は実際にも減少していますし、知財によって、特定のサービスやプロダクトの売り上げが向上したり、会社の評価額が大幅に向上したといった事例もほとんどありません。しかしながら、このような状況だからこそ、弁理士の役割は、知財の専門的な知識や経験を活かしてクライアントの事業価値をあげるための提案ができるように変わっていくべきだと思います。その場合、単にクライアントからの出願の相談を受けて、これを出すだけではなく、事業戦略上どのような機能に対して特許を取得するかというところや、スタートアップの資本政策を含めて出願時期の調整や、優先権出願、PCT出願などの法的なスキームを活用した支出コントロールなどの経営的な視点も含めたアドバイスができることが求められるようになると思います。

渡辺さんの真骨頂は、ご自身でベンチャー企業を創業され、最新のテーマでアプリ開発されているところにもあると思います。渡辺さんのサービスについてお教えください。

careL(ケアエル)は、シェアリングエコノミーモデルを活用したマッサージ、ネイル、ヘアメイクなどのプロのオンデマンド出張サービスです。プロには空き時間と、位置情報登録してもらい、呼びたいときに家やオフィスなどに好きな場所に最短15分で呼ぶことができます。

何でケアエルのようなサービスをスタートしようと思ったですか?弁理士としても大活躍にも関わらず。

もともと弁理士と並行して、エステサロンの店舗の経営も数年前からしておりました。経営する中で感じたのは、美容業界ではたらく側の課題として、給料の安さや、勤務時間の長さなどがあり、これらがビジネスの構造的な問題として生み出されていると感じるようになりました。これは、従業員側にとってだけではなく、経営側にとっても、安定的な人材の質を維持することができなくなるリスクであり、この業界的な問題を解決したいと思ったのがこのサービスを始めたきっかけでした。個人的な性質とて、社会的な課題を感じると解決したいと強烈に感じてしまい、うずうずして我慢できなくなってサービスを始めた感じになります。このケアエルのサービスを通じて、美容業界で働く人たちの働き方をもっと自由にし、時給3000円、月額30万円程度のお金をうちのプラットフォーム上で稼ぐことができる人たちを増やしていきたいと思っています。

ベンチャー企業を起業されて、弁理士業務にどのような影響がありましたか?

やはり、実務レベルでは、事業を構想し、それを推進していく動き方と、クライアントの技術を文書に落とし込んでいく作業とでは、全く頭の使い方が違うので、その切り替えに苦労しています。時間配分をもっと考えて、効率的に両方の仕事を進める方法は考えていかないといけないなと思っています。一方で、自らがスタートアップの起業をすることで、スタートアップの事業自体への深い理解や、ネットワークが作りやすくなったことで、「ITスタートアップに強い弁理士」という立ち位置を見せやすくなったのは、メリットですね。


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