2016/01/27

新法令に関しての紹介

新法令に関しての紹介

新法令について


士業の皆さんの中には、日頃忙しくて最新の論文に目を通す時間を十分に確保できない人もいるかと思います。そこで、今回は新法令に関する論文の紹介をしていきます。今回の論文は、「自由と正義」66(12)の「弁護士のための新法令紹介(第400回)」です。
 

職務発明制度の改正


今回の新法令では特許法の一部が改正されることとなりました。改正部分としては、大きく「職務発明制度の改正」「特許料と商標登録料の改正」「特許法条約とシンガポール条約への加入」の3つに分けることが出来ます。
 
そして今回の新法令のメインとなる部分は、「職務発明制度の改正」となっています。職務発明というのは、簡単に言ってしまうと仕事の中で生まれた発明のことであり、特許法では、この職務発明の特許に関して様々なことを定めています。
 
今回の改正法では、従来の特許法に新たに使用者帰属を導入しています。つまりこれは、企業があらかじめの規約等で特許の権利を企業に帰属させるということを定めていれば、その企業に勤める技術者が新たな発明をしたときに、その発明に関する特許を受ける権利が初めから企業へと渡るということです。一見企業の側に非常に有利な改正に見えてしまいます。
 
しかし今回の改正は、雇用者が企業側とのあらかじめの雇用規約の中に特許を取ることの出来る発明をした際の対価を具体的にどの程度の金額にするのかを盛り込んでいます。こうすることによって、特許に関する企業と雇用者との間の争いを減らすことも目的の一つとしています。
 
ここで今回の改正までにどのような事件や裁判が起こったのかを確認しながら、改正までの流れを振り返ってみます。
職務発明制度には大正10年に特許権は発明者に帰属すべきであるという意見が取り入れられて以降、現在に至るまで発明者主義の考えが特許法に採用されています。
 
しかし上でも少し述べていますが、近年、職務発明に関しては、発明者に対する対価について多くの裁判で争われています。いわゆるオリンパス事件や青色発光ダイオード事件に代表されるように、企業側が発明者側に多額の報償金を支払う例が出てきています。
 
これに伴い経済団体からは、このような争いを未然に防ぐためにも特許を受ける権利について初めから雇用者に帰属させるようにしていくべきとの声が上がってきたのです。これを受けて政府は、平成27年に「産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会」において、特許法改正に関する報告書をまとめ、今回の法改正を行うこととなったのです。
 

特許料と商標登録料の改正


今回の新法令では「職務発明制度の改正」のほかに、「特許料と商標登録料の改正」が行われています。
 
これは知的財産の保護と活用によって日本のイノベーションを促進することを目的として発足した委員会において以前から政府が、特許権や商標登録の維持にかかる企業の負担額を減らすことによって特許の活用の幅を広げることを目的として、特許料と商標登録料の引き下げについて積極的に検討を行っていくべきであるという指針を示しています。
 
それが今回の法改正で実現された形となっており、具体的には特許料を現在の料金から10%程度の引き下げ、さらに商標登録料についても現在の料金から25%程度の引き下げを行うこととなっています。
 
 

特許法条約とシンガポール条約への加入


以上に取り上げた2つの改正に加えて今回の法改正に伴い日本は2つの条約を締結することとなりました。
 
特許法条約とシンガポール条約は、国ごとに異なっている特許出願の手続きを統一化するための条約であり、主な締結国としてアメリカ、スペイン、オーストラリア、ロシアなどが挙げられます、このほかにも多くの先進国が条約を締結しており平成27年時点で特許法条約には36か国、シンガポール条約には40か国が加盟しています。
 
日本は、特許出願手続きを国際的に統一し現在よりも簡素にしていくために、今回のこの2つの条約を締結することとなりました。
 
 

まとめ


いかがでしたでしょうか。今回は特許法の改正についてご紹介しました。
 
今回の法改正は、職務発明における特許の権利帰属の問題を背景として、知的財産の保護と適切な活用を目的に、平成27年7月3日に成立し、7月10日に公布されたものでした。
 

特許法は多くの技術分野で世界をリードしている日本にとって、技術を守るための重要な法律といえます。しかし一方で他の先進国における技術者への待遇と日本でのそれには大きな差があるといわれています。


 

今回の法改正が国を支えてくれている技術者が安心してモノづくりに熱中できる社会づくりのきっかけとなり、そして日本のイノベーションのさらなる促進につながるのではないでしょうか。


このように法律を改めることで国家が進むべき方向性を見せるという事例は、法律が静態的なものではなく、動態的なダイナミズムを持ったものであることを示しています。

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